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実践Webマガジン

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【寄贈資料】『源氏物語湖月抄』の紹介

図書館事務部 図書担当部長 大塚 宏昌

昨年、昭和61年度大学英文学科卒業生の中村和枝さんの仲介により『源氏物語湖月抄』が寄贈されました。
この図書は、千葉県市原市在住の故川上元栄さん(実践女子専門学校卒)の祖父である川上規矩氏が所蔵していたものです。
川上規矩氏は市原市で薬舗(薬剤店)を営んでおり、広大な敷地内には郵便局も併設されていました。その邸宅内に書庫があったと思われます。その邸宅全景の銅版画も寄贈されましたので、併せて掲載します。

この図書の各冊の天地、小口には虫損を防止するために薬が塗布されており、1冊1冊の巻頭遊び紙には「川上規矩図書」の蔵書印が押印され、裏表紙には、全巻数のうちの該当巻号、書棚の場所が記された各欄に川上氏の薬舗の屋号である「川上生生堂蔵書」と印刷された蔵書票が貼られています。これらから、いかに蔵書を大切にしていたかが窺われます。

『源氏物語湖月抄』は北村季吟が延宝元年(1673)に著した注釈書で、源氏物語の本文にそれまでの諸本の注釈と自説を加えたものです。延宝三年(1675)に刊行され、広く流布された刊本です。
寄贈の『源氏物語湖月抄』はその後の印本で、刊記が無いため、刊行年は不明ですが、おそらく江戸末期の刷と思われます。総巻数60巻60冊のうち、第9巻「葵」、「系図」1巻、「年立」2巻が欠巻のため、合計56巻56冊ですが、ほぼ総巻数に近いものです。
本学の黒川文庫、常磐松文庫、山岸徳平文庫などの各文庫にも『源氏物語湖月抄』は所蔵されておりますが、この寄贈により『源氏物語』関係資料の一層の充実が図られるものと思われます。

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