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実践Webマガジン

桜むすび

<特集>進化する 学び①-アクティブラーニング

 実践女子大学では、学生が主体的に学ぶ「アクティブラーニング」の実施を強化しています。
2015年度は、現代生活学科が農林水産省関東農政局と連携し、群馬県昭和村に「元気な村づくり」のための提案を行いました。

農林水産省 関東農政局 × 実践女子大学

 安倍総理の提唱する「地方創生」「女性活躍」を受け農山漁村の活性化を推進している関東農政局。実践女子大学で地域政策・農業政策の教育研究を専門とする野津喬准教授。両者の出会いによって、現代生活学科専門科目「プロジェクト演習a─地方創生に向けた課題解決提案演習─」はスタートしました。2015年9月~2016年1月に全15回で実施されたこの授業は、関東農政局にとっても女子大学との初の連携となる試みであり、マスコミからも注目されるものとなりました。

アクティブラーニングとは

教員による一方的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称

リアルを通して本質をつかむ

双方にメリットがある授業

画像イメージ生活科学部 現代生活学科 准教授
野津 喬 (のづ たかし)

 まず、先方からお話をいただけた点が幸運でした。大学と行政・企業とで連携授業を行う場合、先方がメリットを見出しづらく、持続的にならないケースも多いのです。その点、関東農政局が関わる農政・農業はこれまで地方の男性、特に高齢者が中心の分野だったため、関東農政局としては初となる、都市部の女子大学との連携授業を大変有意義なものと捉えていただきました。実際、2016年度もまた別の形で連携をというお話をいただいています。また学生たちにとっても、フィールドワークや関東農政局、昭和村の担当者様との生のやり取りによって、社会人レベルで求められることを体験できた点は、大きな経験になったのではないかと思います。

期待する効果から逆算

 この授業の場合、特にアクティブラーニングをやろうと意識していたわけではありません。連携授業による実践女子大学と関東農政局のメリット、また学生の学習効果を最大限にするにはどうしたらよいかという視点から逆算して授業を組み立てる。その結果がアクティブラーニングのスタイルになったというだけです。高校までの授業は、学生たちは教科書があり、先生に「正解」を教えてもらうことを「学び」として捉えていたと思います。しかし、この授業に「正解」はありません。関東農政局からご紹介いただいた群馬県昭和村から「昭和村を元気にするためのプランを提示してほしい」というお題を頂き、その後は学生たちが戸惑いながら自分なりの「答え」を出そうと努力する、そのプロセスにこそ学生達にとっての「学び」があると考えました。

表層的知識ではない「力」

 今回のテーマは地方や農業でしたが、この授業での経験は他の分野でも通用します。最近の若い世代はスマホの普及などによって、言葉を知っていることで「知っているつもり」になることが多いように思います。でも、それだけでは「理解している」とは言えません。今回の授業では学生たちがフィールドワークで昭和村を訪れ、現地の方とやり取りすることによって「自分が持っていた農業・地方のイメージが変わった」と口々に言っていました。「知っているつもり」だったイメージ・概念が覆され、現場の状況をほんの一端とは言え「理解」できたのだと思います。このような経験が原動力となり、その後の授業では教員を経由せず、学生自らが昭和村の担当者様や他の自治体にインタビューをして企画提案を検討するまでになりました。現場を見ること、自ら動くことの大切さ、そしてそれが他の分野でも大いに活きてくることに気づいてくれるといいですね。

実践女子大学の強み

 実際に目で見て、話を聞く、そのリアルを通して「本質をつかむ」という経験をし、手法を身につけた点は、学生が得た何よりも大切なことかもしれません。ところで、今回のような授業は、少人数で学生へのきめ細やかな指導が可能な実践女子大学にこそ向いていると思います。一方で、本学の学生は真面目ですが、人前で話すことに苦手意識を持つ人が多いとも感じます。私の授業ではそのような学生でも、はじめは学生同士での発表、次にクラス全員の前での発表、最後に社会人の前での発表と順を追って経験することによって、少しずつ人前で話す力が向上するように配慮しています。学生同士で学びあい、教員がサポートする「互学互修」によって、学生が社会へ巣立つ力を育んでいければと考えています。

プレゼンテーションと講評

 2016年1月14日のプレゼンテーションでは、学生から群馬県昭和村に対して、八つのグループによる提案が行われました。

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 授業に先立って8月に行われた、群馬県の先進的な農業現場でのフィールドワーク。
昭和村では奥利根ワイナリー(左)、農業生産法人株式会社サングレイス(右)、野菜くらぶを訪問。

講評 関東農政局から

 女子大学からの提案は、ターゲットが同年代の女性ばかりになるのでは?という懸念を見事に覆し、実に多彩なアプローチがあって感心しました。特に、「地方創生」というテーマでは、往々にして外部からの勧誘施策に終始しがちになるところを、「内側から元気にする」といった発想が見られた点は目から鱗が落ちる思いでした。また、11月の中間報告の際には予算や実施規模などに曖昧な点が見られたものの、今回の提案ではその点も十分に考慮されており、アイデアの面白さだけでなく現実味のある提案であったと評価できると思います。

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講評 群馬県昭和村から

画像イメージ昭和村
堤 盛吉村長

 すぐに採用できそうなことが幾つかありました。あるグループの提案に他グループの提案を組み合わせるといった方法で、より広がりを持たせた企画にすることも可能だと思います。それぞれの案には、なるほどと思える点があり、昭和村が持つ課題の捉え方は大変興味深いものがありました。また、「元気な村づくり」のためのアイデアは、どれも面白さがあり、参考になりました。いつか、みなさんがまた昭和村を訪れてくださったときに、きっと「変わった」「良くなった」と言ってもらえるように、今後も改善施策に勤しみ、村を成長させていきたいと思います。

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授業をふり返って 〜学生の感想〜

画像イメージ村を内側から元気にと考えた
「健康増進へのアプローチ」

画像イメージ村の子の成長も見すえた
「昭和村でサマースクール」

◆以前は、プレゼンテーションというよりも人前で話すこと自体が苦手でした。でも、今回の授業では少人数での活動や授業内での発表練習が多かったため、人前で発表することへの抵抗が少しずつなくなっていきました。

◆関東農政局様への中間報告が印象に残っています。学生同士では気づかない点について、厳しいご指摘もありましたがとても参考になりました。これがなければ中身の薄い提案になっていたと思います。発表方法のアドバイスも頂けて、とてもためになりました。

◆課題に対する解決策を考えるには、実際に現地に行って触れてみることが一番大切だということを実感しました。ネットの情報や人から話を聞いただけで提案しても、相手には響かないと感じました。この経験を今後に生かしたいです。

◆企画提案を行うまでの過程を詳しく学び、その方法論を身につけられたと思います。自分で一生懸命練った企画を発表し、それに対して頂けた感想や質問はとてもうれしかったです。