卒業研究要旨(2008年度)

家具購買からみるインテリアコーディネートの意識 〜企業と消費者を比べて〜

2008年度卒業研究 空間デザイン研究室 阿部真由子・藤井のぞ美

1.目的

 家具企業は消費者に対するアプローチと消費者の購買行動から、双方がインテリアコーディネート(以下IC)をどのように意識しているのかを読み取る。

2.調査方法

 企業に関しては、企業のホームページからの情報収集 、店舗見学(東京・神奈川・埼玉・千葉 計16社)、アンケート調査(7社)を行った。消費者に関しては、南船橋(有効回答 168部)、相模大野(163部)、青山(46部)地区を対象に2008年10月12日〜17日に郵送法によるアンケート調査を行った。アンケート項目は全部で26項目である。

3.結果及び考察

(1)家具企業のタイプ分け

 企業の見学と消費者のアンケートから、企業をタイプ分けした。売り場の特徴としては、家具の種類別、スタイル別、コーディネートされた売り場の三つに分けられた(図1)。本来家具が持っている機能や価格などの「品揃え型」からシリーズやセット化して部屋のイメージで見せる「提案型」が主流になりつつある。その背景には「部屋を想像しやすくすること」、「買い物を楽しくすること」、あるいは「自社の商品をセットで購入してもらう」という企業の戦略も垣間見えた。また多くの企業は雑貨売り場を設け、雑貨も合わせて選べるようにしたり店内に入りやすい雰囲気を作り出している。

(2)消費者のICの意識

 企業に関してはスタイルや色合いの調和がより快適な生活に繋がると考える企業が多い。
 消費者に関してはICに興味がある人は6〜8割いた。60歳以上でも5割以上の人は興味があった。ICで重視する点については全体的には「機能的な暮らし」を重視しているが、クロス集計の結果、ICに対する興味の度合が高い人ほどスタイルや色あいを重視する割合が上がる(図2)。同じく雑誌やカタログを参考にする割合も上がる(図3)。

(3)消費者の購買行動

 消費者にとって家具を選びやすい売り場を聞いたところ、半分以上が「家具の種類別の売り場」と回答した(図4)。部屋のイメージで探すというよりは、家具単品を探している。また、セットで買うのではなく、色々な店を回りながら少しずつ買い足している(図5)。

4.まとめ

 企業努力によるコストダウンと雑貨売り場との組み合わせにより家具やICに対する敷居は下がっている。多くの企業は売り場を一つの部屋として魅力的に演出し、部分的ではなくトータルでコーディネートすることを勧めている。しかし消費者には売り場のように一部屋丸ごとコーディネートするという考えは浸透していないと考えられる。そこには今ある家具のことや予算、ものの多さ、部屋の間取り、広さなどの問題がある。大部分の消費者にとってICは、自分の好きなように、あるいはそこから手探りで知識や技術をプラスしている。あくまでも自分が主体で行う気軽なものなのではないか。

(図1)家具企業のタイプ分け(表)
(図2)ICで重視すること(グラフ)
(図3)どのようにコーディネートするか(グラフ)
(図4)選びやすい売り場(グラフ)
(図5)家具の揃え方(グラフ)



2003-2009, Space Design Laboratory, JISSEN Univ.
Status: 2009-01-22更新