卒業研究要旨(2008年度)

Hey! Say! Bu! 〜街と緑を結ぶ駅〜

2008年度卒業研究 空間デザイン研究室 塚越郁・村田真理恵

1.はじめに

 西武新宿線、西武遊園地駅。
 西側には狭山公園・多摩湖、北側には西武ゆうえんちがあり、東側は住宅街になっている。駅から徒歩3分の場所にある狭山公園では緑・水・動植物があふれ、季節によってさまざまな植物や虫、また都心では見ることの出来ない環境を楽しむことができる。
 しかし現在の西武遊園地駅は、都心から比較的近い立地で自然に恵まれたこの環境を、生かしきれていないと感じた。この駅を通じて地域住民や利用客が交流できる空間をつくれないだろうか‥。

2. 現状の課題

 現在の西武遊園地駅に以下の3課題が挙げられる。

(1)遊園地・公園・街の繋がりがなく、孤立しているため機能が個々にしか利用されていない。それぞれが閉ざされた空間と化していて、利用客は公園やまわりの自然に気付かず通り過ぎてしまう。

(2)駅周辺を行き交う人がまばらで暗い印象を受ける。街全体の活気がなく、駅から街にかけて閑散とした雰囲気が漂っている。駅を利用する人々も慌ただしく通過するだけの場所になっている。

(3)駅構内の設備や周辺の舗装が整っておらず、遊園地までの長い階段や公園までのわかりにくい道のりが歩きにくさを感じさせる。

 これらの問題点を解決する統合的な提案として西武遊園地駅の改修の計画を行う。

3. 設計コンセプト

 以下の3つのテーマを中心に、駅空間を提案する。

<架け橋>

 現在はそれぞれ孤立した狭山公園・西武ゆうえんち・街の3つの空間を駅が架け橋となって繋いでいく。駅のどの場所からも公園の緑が眺められるようにし、駅の利用と併せて公園へも立ち寄りたくなる。遊園地へも気軽に行くことができるので、利用者の行動範囲も広がり、それぞれがより近い存在に感じられる。

<街の拠点>

 街に対して閉鎖的な駅から、街の拠点となる駅へ。ただ通過するだけの駅ではなく、電車利用者以外の人々も心地よく過ごせる駅空間、そして街の人々にとっては、近隣住民が集まるコミュニケーションの場となる。街に対して開放的な雰囲気になったことで、特に目的がなくてもぶらり立ち寄りたくなる駅周辺となる。

<散歩道>

 駅の屋上階は晴れた日には気持ちよく歩け、水遊びなどもできる散歩道となる。電車の待ち時間、学校・会社帰りには図書館で本を借りて上のカフェで緑を眺めながらゆっくり。利用者には緑や動植物と触れ合うことによってもれなく心のゆとりが生まれる。森の中に見えるタワーに上ると周りの景色を見渡すことができる。


「今日は天気がいいから、駅を散歩しよう。」

(図1)平面図・断面図
(図2)模型写真



2003-2009, Space Design Laboratory, JISSEN Univ.
Status: 2009-01-22更新