卒業研究要旨(2021年度)

学びの交換拠点 〜LifePlaceを旅して学ぶ〜

2021年度卒業研究 空間デザイン研究室 髙橋千晴

1.はじめに

 変化の多い不確かな時代、「人と協働して、ほしい未来を自らつくることのできる力」を必要とする大学生。

 そして、「大学が地域にある」ということへの地域の人々の期待は非常に大きいにもかかわらず、大学生の地域への存在感は物足りないという現状。

 これらの背景から、キャンパスに定着するのではなく、また、プログラムされたものを学ぶのではない、つまり実際の社会や暮らしに入り込んで、向き合って、発見する、そしてクリエイティブに開発していくという学びの場所が必要であると考えた。

 そこで、日野市に66か所点在する地域住民のコミュニティ拠点である地区センターに着目。建物の老朽化と認知度・利用率の低さを課題とする地区センターを新たに、「社会と学びの行き来が自在にできる拠点」として計画し直すことにより、地域に「学びあいのコミュニティ」を生み出す。そして、地域資源の復活を目指す。

2.敷地概要

対象敷地:実践女子大学周辺の地区センター
(大学または日野駅・豊田駅から徒歩20分圏内かつ、築30年以上の戸建て地区センターを9つ選択)

3.設計コンセプト

『学びの交換が生まれる地域の居場所』


 LifePlaceは自分の能力や興味・関心を発信することができる能動的・社会的居場所である。LifePlaceには地域住民の暮らしがある。また、そこでの時間を一緒に盛り上げる・面白がる若者(学生)がいる。そして、外からやってくる人が新たな風を運び、種(活動)を改良していく。9つのLifePlaceには、できることの違いが少しある。自分がやりたいことをやるのに最適なフィールドや仲間を旅する中で見つけていく。その中で常連が生まれ、地域に根付く人も出てくるだろう。3者がそれぞれの目的で旅することにより、種の絶えない学びの交換の居場所を目指す。

4.空間計画の一例

多摩平6丁目地区センター建築面積:106.7㎡
コンセプト『ものづくりのかけ算』

(表1)対象地区センターの現状と敷地の特徴
地区センター名 現状延床面積
1.日野台 202m²
2.日野台1丁目 106m²
3.多摩平3丁目 59m²
4.多摩平中央公園 75m²
5.多摩平6丁目 88m²
6.多摩平東 50m²
7.旭ヶ丘東 92m²
8.金子橋 71m²
9.谷仲山 90m²

(図1)人の位置付けとLifePlaceでの目的
(図2)イメージ写真
(図3)空間計画
それぞれの活動が滲み出し、間の余白で交わる。そこで学びを交換することにより更新やコラボが生まれる。
どのような活動に発展してもいいように柔軟に形を変えられる空間とする。



2003-2022, Space Design Laboratory, JISSEN Univ.
Status: 2021-02-09更新