Studies:卒業論文の進め方5



テーマがなかなか決められない場合に、どうやって決めるか

1.えいやっと決める

 取り組み始めのテーマは、深く考えて決めても、ぱっと思いつきで決めても、実はそれほど大差ないという考え方がある。大事なことは、どれだけ考えてテーマを決めたか、ということではなく、とりあえず決めたテーマをどれだけ深めていけるか、そこから面白さをどれだけ引き出せるか、ということにある。そして大抵のテーマは(それがあまりに抽象的でない限り)、深めていくにつれ、自分だけの面白そうなテーマへと進化していくものである。なので、とりあえずこれでいこう!と決めてしまうのも一案。

2.本を読んで似たようなテーマを考える

 ちょっと切羽詰まりながらも手当たり次第にいろんな本を読んでみると、面白い視点のものが見えてくることがある。少しでも興味を惹かれたら、それと同じようなことを企画してみるのも良い。この本に書いてあるけど、本当にそうなの?とか、同じような質問をまわりの人に聞いてみたらどうだろう?とか、それを身近な場所・空間に当てはめてみるとどうだろう、とか。対象や見方を少しだけ変えるだけでも、「検証」という論文の一つのあり方になる。研究のいっぱいつまった文献(論文集とか)に手当たり次第に目を通してみて、興味を惹くものをピックアップする、などは、テーマを決める古典的な常套手段である。

3.過去の卒論の続きをやる

 今までの卒論を読んで、その続きに取り組んでみる。似たような調査対象で継続した調査を行ったり、同じ調査項目のアンケートを別の対象者に行ってみたりと、対象を変化させるか、時間の経過による結果の変化を追跡するだけでも十分に卒論テーマとすることができる。過去のデータを新たに検証し直してみる、というのは、科学的な取り組みの基本のスタイルであり、研究室としての研究成果がより膨らみと深みをもつことができるという意味で、むしろ推奨したい方法でもある。

4.他の人のテーマに乗っかる

 せっかくゼミで集まって、他の人の話を聞いているので、あのテーマ面白そうだな、とか、ちょっと似た視点があるな、とか、もうちょっとこんなことも調べられるんじゃないの?とか思いついたら、それに乗っかってしまうのも一つの手。一人一つずつのテーマで取り組まなければいけない、というわけではない。一つのテーマを二人でちょっとずつ違った視点から取り組んでみることで、より広がりのあるテーマとして深めていくこともできる。調査など行うときに心強い、という利点もある。

5.決めてもらう

 自分でどうしても決められない、という最後の手段は、自分では決めずに決めてもらう、というものである。自分の興味とは関わりなく、とにかく言われたテーマに関して勉強を行い、何らかの調査・分析を行う。1の「えいやっ」でも書いたが、テーマを決めるまでのプロセスよりも、その後どれだけきちんと取り組んでいくか、という部分で論文の出来が決まっていくことを考えれば、「言われたテーマを受け入れただけなんだけど…」というような受け身の態度に悩む必要はない。ただし大事なことは、「そのテーマはやりたくない」「自分にはピンと来ない」「何か違う」などと言ってはいけないことである。研究の面白さはやはり、実際に作業を行い、考えを進めていった先に見えてくるものである。


2003-2008, Space Design Laboratory, JISSEN Univ.
Status:2008-02-20更新