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原田謙先生

地域を見る/歩く/考える

原田先生

原田 謙(HARADA Ken)/人間社会学科・准教授

略歴:早稲田大学第一文学部哲学科社会学専修卒業、東京都立大学大学院都市科学研究科(博士課程単位取得退学:博士(都市科学))、いわき明星大学人文学部現代社会学科専任講師を経て実践女子大学人間社会学部人間社会学科准教授。

Q.先生の研究分野を具体的に教えてください。

「先生の専門は何ですか」と聞かれたときに、まじめに「都市社会学と社会老年学です」と答えると、怪訝な顔をされることが少なくありません。たしかに社会学という学問が経済学や法律学に比べるとそもそもわかりにくいですし、老年学(gerontology)はもっと日本では知られていません。

社会学は、「人と人のつながり」について考える学問です。家族・親族関係、職場関係、隣人関係、友人関係など、私たちはさまざまなつながり(しがらみ?)のなかで日々生活しています。こうした人間関係は、それこそ都心に住んでいるのか、村落に住んでいるのかによって違ってきます。都市社会学は、まさにこうした都市の力を探っています。

一方、老年学は「エイジング(老化)」について考える学問です。社会学、心理学、社会福祉学、医学、看護学、建築学など、さまざまな視点から「幸福に老いる条件は何か?」が研究されています。幸福に老いるには、それなりの経済力が必要です。ただし、お金だけではなく人間関係(社会的ネットワークとサポート)や地域活動への参加が、高齢期における健康や幸福感を高める鍵になっているのです。

Q.ゼミでは毎年どのようなことをしていますか?

原田ゼミ活動

この数年間の 3、4 年の演習(ゼミ)は「人口減少時代におけるまちづくり」について議論しています。学生は、自分自身で「フィールド(地域)」と「研究テーマ」を決めます。そして、フィールドを実際に歩き、デジカメで写真を撮り、地図・統計・文書データを収集し、聞き取り調査や質問紙調査を実施します。「都市と地域の社会学」は、こうした一連の社会調査を通じて、その地域から見えてくるものは何か、持続可能なまちづくりとは何かを考えることです。

Q.最近のゼミの状況はどのような感じでしょうか?

原田ゼミ風景

とくに私のゼミは、「東京生まれの東京育ちの学生」よりも「地方出身の学生」の方が多いのが特徴です。実際に、山形市、富山市、宇都宮市といった自分の「フィールド」を決め、各自が、都心の再開発、中心市街地の活性化、ニュータウンの再生、防犯・防災、観光振興、歴史的環境保全などの「研究テーマ」に取り組んでいます。

また、2014 年度の 3 年ゼミ生は、「Hi Know!(ひのぅ)日野市まちにくわわるポータルサイト」(そして同時に発行された「プラチナ世代向け 地域活動・サークル冊子」)の作成に、「まち記者」として協力しました。Hi Know! は、日々の生活における「新しい発見」「新しい人・地域との繋がり」「やりたかった事を実現する」きっかけになればとの思いから、日野市民、富士通研究所、日野市社会福祉協議会、地元企業、日野市役所を中心に企画されました。

Q.ご担当の授業の具体的な内容について教えてください。

「社会学概論」は、社会学を初めて学ぶ1年生対象の入門編になります。さまざまな理論やデータに基づいて、家族の構造と機能、ライフコースとライフスタイル、都市化と地域社会の変容、生産・労働のグローバル化などを理解し、社会学的な発想を学びます。

「地域社会学」は、地域をとらえる理論と方法を理解し、都市化・郊外化、インナーシティ問題、世界都市論、地方の衰退と中心街地活性化、市町村合併と限界集落などの論点を検討し、まちづくりの現状と今後の課題について考えます。

「都市フィールドワーク」は、質的調査の方法論に関する「社会調査士」科目です。具体的には、聞き取り調査、参与観察、ドキュメント分析(資料分析)などの方法を、東京という都市を舞台に演習的に学びます。

Q.先生の趣味やマイブームがあれば教えてください。

原田先生趣味

専門が「都市と地域の社会学」ですので、学生の頃から、旅行に行くのが好きです。海外、国内は、とくにこだわりません。海外だとスペインのバルセロナやトレドが印象に残っています。学生には、女性に人気がある九州の黒川温泉や湯布院温泉がお勧めです。

ちょうど私の世代は、学生の頃にバンドが流行していました。私も同級生と一緒に、高校から大学卒業までドラムをやっていました。70 年代ロックからソウル、AOR、フュージョンまで何でもコピーしていました。卒業後はドラムをたたいていませんが、今でもかっこいいリズムの音楽が好きです。

マイブームはコーヒーです。もともと学生の頃から喫茶店に行くのが好きでした。最近ちょっといいエスプレッソマシーンを購入したので、自宅でおいしいコーヒーを飲みながら、本を読んだり音楽を聴いたりするのがリラックス法です。

Q.学生に読んでほしい書籍等はありますでしょうか?

学生の皆さんには、専門書、小説何でもよいのですが、「長編」を読んでほしいです。個人的には、宮本輝や重松清の小説が、読了後の余韻があって好きです。

専門に関係するお勧めは、森岡清志編(2008)『地域の社会学』有斐閣です。第1部「地域を考える」では、地域をとらえる枠組み・視点が提示されています。第 2 部「地域を見る」では、子育て・学校・自営業者・高齢化・エスニック集団などをめぐる地域生活の現状が分析され、その問題点および意義が議論されています。松本康編(2014)『都市社会学・入門』有斐閣も読むと、都市・地域への社会学的アプローチの理解が深まります。

Q.最後に、受験生へのメッセージをお願いします。

大学それぞれの雰囲気があるので、関心のあるキャンパスには足を運んでおいた方がよいでしょう。ぜひ実践女子大学の渋谷キャンパスにもいらしてください。

「すぐに役に立つことは、すぐに役立たなくなる」という言葉がありますが、大学選びや、入学後の生活において、「すぐに役に立つ、役に立たない」という基準で物事を考えない方がよいです。大学生活の 4 年間は、貪欲にいろんなものを見聞きして、自分の「引き出し」を増やしましょう。

(聞き手:木部綾乃/調査日:2015 年 7 月 29 日)