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髙木裕子先生

『繋がる/繋げる』を実践する

髙木 裕子(TAKAGI Hiroko)/現代社会学科・教授

略歴:港区青山出身。国際基督教大学大学院教育学研究科博士前期課程(教育工学)・東北大学大学院情報科学研究科博士後期課程(情報科学)修了。関西外国語大学外国語学部 専任講師、山形大学・同大学院教育学研究科 助教授から教授。パデュー大学大学院・ウイリアム アンド メリー大学(アメリカ)、シンガポール国立大学 客員教授。旧文部省内地研究員(日本)・在外研究員(アメリカ)。2004年から現職。国際教養大学大学院(日本)客員教授 兼任。国内外で教育方法論の実践や教授デザインを応用した教育・学習方法の進展に関する研究開発、実践活動に従事。これまでタイ(カセサート大学)・韓国(忠南大学)・中国(東南大学)・シンガポール(シンガポール国立大学)等の各国国立大との間で、「協働教育プロジェクト(International Collaboration Project)」を数多く行ってきている。また、日本語教員養成課程のあり方に関して、教員の資質・能力の向上と能力育成を目指して、「実践能力」や指導法・支援法、カリキュラムに係わる調査、実践研究を行ってきている。近年は、グローバル社会が進展する中、国際的に活躍できる人材育成について、シンガポール国立大学との間で専門的な研究を行っている。

Q.先生の研究分野について教えてください。

専門は教育学の教育方法論、教育工学です。大学での担当科目は「コミュニケーション学」ですが、ベースは「教育学」にあります。教育工学という分野では、コミュニケーションはもとより、社会学や心理学も研究の対象になっていますので、これらに関する研究をします。この他には「授業設計とデザイン」があります。これがもうひとつの大きいテーマですね。つまり、これが「教育方法論」になるのですが、さらにそれをまとめるとすれば、「教授・学習方法の開発と授業設計のデザイン」でしょうか。ですから、これに関わる教育の実施と研究というのが私の研究分野です。

Q.ゼミでは毎年どのようなことをされていますか?

ゼミの学習は、髙木ゼミ所属が決まった2年生の後半から、既に論文作成に取り組んでいますと言えるかもしれませんね。それから海外の大学と一緒にプロジェクトを展開しています。向こうの大学の授業がある間に、こちらからあちらの授業に参加させてもらったり、「日系企業訪問」をするというようなプロジェクトを通じて、国を超えた「協働学習」や諸活動を行っています。これは今、一か国だけを留まらず、この他アメリカに行くプログラムやタイの大学で教育活動を行うプログラムなどがあります。

Q.現在のゼミの雰囲気はどのようなものですか?

一言で言ったら、縦糸と横糸で結ばれた「仲間」でしょうか。彼女らの方から見たら「仲間」。私の方から見ると「よくできる集団」です。「仲良いですか?」って聞かれたら、答えは勿論YESです。でも私達は単なる「お友達」集団ではない。でも仕事を一緒にしたら、凄くできると思いますよ。それぞれが何を得意としていて、何に長けているかを分かっていますから。私はゼミ生に「皆で仲良く」って言ったことがないです。でも簡単に言えば仲がいいんでしょうけどね。

Q.海外にはゼミ生全員が行っているのですか?

皆で一緒に行くということはまずありません。でも、それぞれが最低 1 回は海外へ行っていて、多い人では 4 回も行っています。その意味では、海外との繋がりは強いと思います。

その海外へは皆で一緒に行くことはないので、モットーは現地集合・現地解散。

飛行場の何番ゲートで集まるとか、ホテルのここに何時何分に来いとかそれだけですね。解散もそれぞれが飛行機に乗って帰ります。皆をひとりで歩けるようにする、そこまでもっていくのが大変ですが、後は凄く信頼していますから、また「できる」と思っているから、そこまですれば、もうひとりで帰ったって、大丈夫なんです。

Q.一番最近ゼミとして行ったプログラムはどのようなものですか?

現在アジアでトップの大学、シンガポール国立大学と行っている日系企業訪問プロジェクトですね。NUS(シンガポール国立大学)の学生は授業の一環としてこれを実施していて、こちらはゼミとして実施しています。そこと一緒にコラボして双方が学生を出してシンガポールにある日系企業を訪問をして、インタビューをしてまとめて、企業の前でプレゼンまでしています。もちろん企業分析・企業研究や、ちゃんと話ができるように名刺の扱い方から全部やっていきます。頂いた時間ができるだけ有効なインタビューになるようにちゃんと練習して、双方がインタビューの発表をします。あとは現在ではITの技術が進んできたので、事前学習も含めてインターネットのスカイプを使ってやっています。これが最近で最大のプロジェクトですかね。

Q.現在の研究分野やゼミ活動について一言で表すとどんな言葉になりますか?

研究で言ったら、この人社でやっているのは「コミュニケーション学」でしょうね。「コミュニケーション学」というのは、単なる「言語」とも違いますし、様々な分野が関わることだし、異文化コミュニケーションも入るだろうし、政治学も入るだろうし、言語哲学も入らざるを得ないので、それを今やっていると思います。

「ゼミ活動は」と言われたら、それは授業だけでは伝えられない「コミュニケーション」についてやっています。「コミュニケーション」は「これがコミュニケーションです」と言えるようなものではないし、目に見えないものだから、言葉では伝えられないし、「こういう風な理論ですよ」ってことは講義では話せても、実際は自分でやっていただかないと駄目なのです。例えば、企業に行った時の話し方も含めて、ここを上手くしないと聞きたいことが聞けないっていうことがありますよね。

ゼミ活動でのプロジェクトで海外に行って企業と接していると、日本人がコントロールできないことがあります。方言を話す人もいるし、男性的な話をする人もいるし、服装もTシャツにズボンで来る人もいます。私達はきっと背広にきちんとネクタイをした人が来るかなと思っているけれど、これだけは分からなくて、モデルがないものです。そういう状況でもちゃんと粗相がないように聞きたいことが聞けて、向こうがどういう話し方をしてもそれに対して的確に聞いて、聞きたいことを聞いて帰ってくるって、やっぱりそれってコミュニケーションですよね。

ゼミでは、それを知識というよりも、できるように実践させているかもしれないです。それができれば、社会に出ても困らないでしょう?

Q.ご担当されている授業について内容を教えてください。

1 年生の「コミュニケーション概論」では、社会学で言うところの、インナーとアウターという言い方があるのですが、そのインナーにあたる、自分の身の周りで使っていく様々なコミュニケーションに焦点を当てながら、基礎と基本をやっています。

2 年生の「社会言語学」は、言語と社会がどうなっているのか、質的調査としてのインタビューの仕方や、社会調査の方法に結び付けて教えます。コンテキスト、文脈を取ることに重点を置き、CM 分析も行っています。

「言語コミュニケーション教育論」は、外国語としての日本語を教えるというのと外国人として日本語を学ぶという視点で、どうやったらコミュニケーションが円滑にできるのかを考えています。外国人として外国語である日本語と日本人としての日本語というところをぶつけながら、地域で困っている人を支援するにはどうしたらいいのかということについて、福祉場面も事例として挙げながらやっています。

3 年生の「社会文化事業論」は、文化とは何かを政策論も含めて取り上げています。ビジネスの世界に出て、お金儲けするのと、そうではない部分、仕事でお金をとらない部分でどうやっていくのかというのがひとつのテーマだと思います。これから東京オリンピックもあるので、そこでどうやったら文化を使えるのか、文化をどうやって扱っていくべきなのかということを今やっています。

「共生支援論」では、ビジネスではない世界で、コミュニティや連携、共同って何なのかということを学んで、どうやったらそういった世界が作れるのか、どうやったらそういったものが仕事としてできるのかということについて考えます。

以上、私が担当している授業の全ての根幹には「繋がる/繋げる」というテーマがあります。

Q.実践女子大生に対しての印象を教えてください。

真面目かな。温室育ちの真面目さん。眠っているものは物凄く持っていると思います。自分自身が気付いているかどうかは分からないけど、眠っているものが凄くあって、私の印象では本来的には力があると思います。だからその力が、行く先かやり方によって物凄く出てくるかもしれない。可能性がいっぱいある小さな石みたいな感じですね。

Q.先生の趣味等があれば教えてください。

昔から多趣味です。特に好きなことは絵を描くこと。バレーを含むダンスも好きです。華道、茶道などもできます。セーターを編むことや、帽子、人形などを作る裁縫も好きです。料理も好きで、学生とは料理を持ち寄ってパーティー等を開いて交流を図ることもあります。それと、「冒険」することが大好きです。20 代の時はシンガポールをはじめ、言葉の通じない様々な場所へ行っていました。いろんな場所でいろんなことを見て、学んで、私は「生き方」が変わったと思います。

Q.学生に読んでほしい書籍等はありますでしょうか?

是非「哲学」を読んでほしいです。「学び方」ではなく、「学ぶとはどういうことなのか」という物事の根底にあることを考えることが出来ます。

そして、学生の皆さんは分野を問わず、様々な種類の本を数多く読んだ方がいいと思います。インターネットの情報だけでは、知識が構築されません。時間の許す限り、インターネットで検索ではなく、本を読むようにしてほしいと思っています。

Q.実践女子大学生に向けてメッセージをお願いします。

「女性よ大志を抱け!」。今よりもっと大きなことを目指してほしいです。そのためにこの4年間で力をつけてください。やりたいことを全部やり、やりたい方向へと向かってください。先生から教わるだけではなく、自ら学ぶ積極性を大事にしてほしいです。

「良き人生であらんことを!」。学生の皆さんには良い人生を歩んでいってほしい。幸せになってほしい。そのためのサポートをするために私たち教員はいるのです。

Q.最後に、受験生へのメッセージをお願いします。

私にとって人間社会学部は、人間と人間が関係を取り結び、コミュニケーション環境を私が設計することで、学生にそこで活動をさせて、成長・変容をさせていくところです。

可能性はいくらでもあります。そのドアを開けるかどうかはあなた次第。あなたがまだ知らないことが世の中にはたくさんあります。今やりたいことは悔いのないように全部やってください。大学4 年間は自由です。自分に投資して、冒険・挑戦していってください。

(聞き手:田中幸乃・星野梨恵/調査日:2015 年 11 月 11 日)