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深澤晶久特任教授「グローバル・キャリアデザイン」

「グローバル・キャリアデザイン」の概要

全学部の大学3年生を対象に、いよいよ半年後から始まる就職活動に向けて、「キャリア」とは何か、「働くこと」とは何か、をテーマに、「共に」考え、議論することで、「主体性」と「自育力」を身につける。多くの知見を共有するため、様々な分野の外部講師を起用し、講師と学生、また学生同士が「共に」考える。この講座を終えた時に、働くことにワクワク感を覚え、21世紀の社会を生き抜くための強さとしなやかさ、そして知性を身につける、学生一人ひとりが主役になれる授業をめざしている。
(共通教育科目キャリア教育分野・3年生後期2単位)

自分を知り、社会を知り、柔軟な「社会人基礎力」を身につける

授業に「主体的」に参画して学ぶ、キャリア

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 深澤先生の「グローバル・キャリアデザイン」の授業は、頭や感覚をものすごく使う。学生達は日常的に、思考を深め、自分自身の言葉で発信することが求められる。ゲスト講師のセッション、ワークショップのセッション、キャリア戦略シート作成のセッションなど、15回の中に多種多様なセッションがあり、他の授業にはない刺激の中、自分や自分の将来について否が応にも深く考えさせられる。

 平成28年度後期の授業では、外部講師として元スターバックスコーヒージャパンCEO・岩田松雄氏、レゴ・シリアス・プレイ認定ファシリテーター・蓮沼孝氏、オーケストラ指揮者櫻井優徳氏、株式会社マイナビ専務取締役・浜田憲尚氏、CEL英語ソリューションズCEO・曽根宏氏を招き、様々な視点で「キャリア」への理解を深めるプログラムが展開された。超一流の「キャリア」に触れることで、どんな人生を送りたいか、どんな将来を描きたいのか、自分の中に確立させるための取り組みだ。

 また深澤先生は、この授業を「参加型双方向型授業」と位置付ける。講師と学生、また学生同士のコミュニケーションを重視し、とにかく対話を重視する。隣の席の人同士で、またはグループを作らせて、ディスカッションを繰り返す。それは正解を導き出すためではなく、学生自身が自らの理解によって、自らの言葉で語ることを重視する。格好のいい台詞をいう必要はなく、自分自身の内面からわき出た言葉を尊重する雰囲気づくりがこの授業の特徴だ。

 最初はとまどいがみられる学生たちだが、全15回の授業も後半になると、グループディスカッションにだいぶ慣れてくる。各々が自分の意見をまとめてから、みんなで話し出すチームもあれば、初めから口々に意見を出し合い、誰かがまとめ役に名乗り出てとりまとめていくチームもある。やり方は様々だが、どのグループも活発でスピーディ。ポンポンとまとまっていく。お互いを尊重しながら、グループで一つのことを成す力、ディスカッション能力やコミュニケーション能力が、この授業独特の雰囲気の中でいつのまにか培われる。

“実践女子大学のトップランナー”になるために

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 深澤先生はこの「グローバル・キャリアデザイン」で、“実践女子大学のトップランナー”の輩出をめざしている。社会で活躍できる人材、戦力となる人材となりうる、実践女子大学を牽引するトップランナーを育てるための様々な仕掛けが盛り込まれている。学生にとってはまだまだ未知な「キャリア」について、イメージを描き、少しでもその感触を得られることが、大学で「学ぶ」ことと「働く」ことをつなぐきっかけになると深澤先生は考えている。

 経済産業省が掲げる「社会人基礎力」についても、深澤先生はその本質をしっかりと理解させ、学生たちの自分なりの軸とさせるための工夫を行っている。「社会人基礎力」の「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの能力は、環境変化に対して、基礎力や専門知識をうまく活用するために必要な力。時代が変わり、意識的に育成していくことが今まで以上に重要になってきたとされている。深澤先生がかつて在職していた資生堂が求める人材像からは、必要な「社会人基礎力」の変化が見受けられる。2006年〜2013年での人材像は「美意識・自立性・変革力」。それが、2015年には「発想力・競争力・行動力」などを重視する方向へと変化が見られる。深澤先生は、社会の変化にしなやかに対応できる力、自分から考えて動く主体性が「社会人基礎力」の本質と語る。15回の授業で繰り返し、「前に踏み出すこと」「脳ミソに汗をかくほど考え抜くこと」を経験することによって、学生たちは“実践女子大学のトップランナー”への階段を一歩一歩、着実に上っていく。

社会に求められる力とは

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 「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」、この3つの力は実際の就職活動での支えにもなる。こんなことがあった。「グローバル・キャリアデザイン」を受講している学生が、誰もが知っている大手ゼネコン企業でのインターンシップに選抜された。ところが、選抜メンバーは有名大学に在籍する男子学生ばかりで、女性は自分一人だけ。肩身の狭い思いで参加したが、グループワークとプレゼンテーションの課題に取り組み始めると雰囲気が一変した。同じグループになった男子学生たちは、慣れていないのか、それとも緊張しているのか、なかなか発言せず、ディスカッションがうまく成り立たなかった。そこで彼女は、チームのリーダー的役割を自ら買って出て、メンバーの発言を促しながら進行を行い、グループとしての意見をまとめてプレゼンテーションを行い、高い評価を得た。深澤先生はその話を聞いて、学生たちに着実に力がついていることを実感したという。

 「グローバル・キャリアデザイン」では、チームワークやリーダーシップ、ファシリテーションについても学ぶ。自分自身で「やってみる」経験が学生を主体的にし、自分はどんなコミュニケーションタイプなのか、何が好きで何が苦手か、どんな役割でどう働きたいのか、いろいろな角度から考え続けていくことになる。チームビルディングを学ぶセッションでは、チームワーク演習を通し、チームが1つのビジョンを共有することを妨げる要因に気づき、それを取り除く方法まで考えた。これを応用すれば、何か目標を掲げたとき、それを妨げようとするものを見つけ、取り除く工夫をすることができる。それはいつの間にか社会人基礎力として身につき、就職活動にも入社後にも活きてくる。

次世代型の人材教育に向けた、新しい試み

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 「グローバル・キャリアデザイン」の後半では、企業コラボレーションという新しい取り組みも行われた。よくある、企業の「課題」に対して学生が答えを導き出して発表するという形ではなく、社員と学生とが「共に」学び合うという先進的な試みがあった。セッションのテーマは「企業理念とは、働くこととは」。株式会社クレディセゾンの企業理念を読み解き、そのビジネスを理解し、社員・学生それぞれが個々の考えやチーム内のディスカッションを重ね、その結果を発表した。学生と社員が互いに異なる「視点」や「意識」に触れることにより、多くの新たな気づきが生まれた。

 深澤先生は、この授業の特徴のひとつに「マルチアプローチ・マルチフィールド型」という言葉をあげる。「働く」「自分」を考えるには、360度の視点で見つめ、考え、常識やフィールドの枠・概念を超えて「答え」に辿り着く必要があるからだ。そして、多くの視点を知っておくことは、いずれ困難に直面したときに必ず役に立つ。しなやかに変化しながら主体性を持って生きられる「力」こそが、激動の現代社会の中で最も求められている。「グローバル・キャリアデザイン」は、そんな次世代型の社会人を育てる授業なのかもしれない。

社会に出たとき「実践女子大学卒」は誇りになる

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 就活で企業が学生に聞くよくある質問として、「今までで挫折した経験を教えてください」というものがある。挫折の経験から得た強さや教訓を問うものだとされているが、実践女子大学の学生の中には「第一志望の大学に入学できなかった」と話す学生がいるという。だが深澤先生は、実践女子大学の学生であること、卒業生であることを、堂々と誇りにしてほしいと語る。社会に出てからは、出身大学名ではなく、それよりも、大学時代に自分が何を得て、何ができるようになったか。どんなことが好きで、どんなことをやりぬいたのか。大学時代に実際に経験してきたことの方がずっと役に立つという。他大学では得られなかったであろうことが、実践女子大学で経験できていることに自信を持ち、堂々と語ってほしい。「グローバル・キャリアデザイン」はそのための授業なのだから、と深澤先生は語る。

 通常の授業は全15回だが、「グローバル・キャリアデザイン」は、16回目、17回目、18回目、19回目~と、様々な特別セッションが用意されている。また、何か相談したくなったり、迷ったりしたときは、いつでも深澤先生に相談できるという。時には、早朝から夜遅くまで学生の様々な相談に乗っている深澤先生は、「授業内だけでは限界があります。どれだけ一人ひとりの学生と向き合えるか、そのことへの挑戦です」と笑いながら語る。

「グローバル・キャリアデザイン」受講者の声

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 私は実践女子大学が第1志望ではなく、入学当初、なかなか大学に来られない時期がありました。
 そんな時期に深澤先生の授業を受けて、社会に出ることに興味を持ち始めました。
 2年次の「国際理解とキャリア形成」に続き、3年生でこの授業を受講しました。刺激が多く、自分とは何かを考えられ、今の私の支えになっている授業です。(美学美術史学科3年・大澤萌里さん)

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 先輩たちの楽しそうな雰囲気にひかれ「国際理解とキャリア形成」を受講しました。「グローバル・キャリアデザイン」はその続きです。
 サークルやアルバイトをあまりやらなかった私にとって、大学生活の中でこの授業の存在はとても大きいです。自分に自信を持っていいんだと、気づかせてくれました。(国文学科3年・長岡瑛さん)

※学生の学年表記はインタビューを実施した年度のものです。

深澤晶久(ふかざわあきひさ)特任教授のプロフィール

1957年、東京生まれ。
1980年、慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、株式会社資生堂に入社。
営業、マーケティング、新規事業開発、労働組合委員長等を歴任。2004年より人事部に所属し、人事部人材開発室長として、採用、研修、異動、昇格など、資生堂グループ全体の人材育成全般に関わる(採用人数は、7年間で約1000名、研修の対象は、約16,000名の国内所属社員)。2011年には、資生堂社内で初めての「キャリアデザインセンター」を設立し、入社から退職までの社員のキャリア形成の支援に関わる。
2014年4月、実践女子大学渋谷キャンパスの開学とともに、本学大学教育研究センターの特任教授として着任。「実践キャリアプランニング」「グローバル・キャリアデザイン」などキャリア教育科目の指導を担当。「国際理解とキャリア形成」では、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に対し、学生が“自分たちに何ができるか”を提案する授業を展開し、各メディアから大きな注目を集めている。
精力的に学生指導を行う傍ら、産学協働による人材育成をテーマとした研究活動や社会貢献活動にも従事。文部科学省「大学教育再生加速プログラム委員会」「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」「インターンシップの推進等に関する調査研究協力者会議」委員、東京商工会議所「若者・産業人材育成委員会」専門委員会学識委員、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会「文化・教育委員会」委員、を務めるなど、活動の幅を広げている。