第17号(1996.12) 目次に戻る
宮澤賢治生誕100年にあたる今年は、出身地花巻での生誕祭をはじめとして、映画・演劇などの上演、マスコミでの賢治特集などが相次いだ。本学でも「<試み>としての宮沢賢治」と題した公開講座が開講された。大学図書館でも、それに合わせて、7月5日から19日まで「宮澤賢治関係図書資料展」を開催した。期間中、約230名もの見学者があった。今回の展示の特色のひとつは、本学図書館に所蔵している賢治自身の著作・作品の復刻版を中心とした出版物を紹介し、二つめは、賢治の読書体験に焦点をあてた「宮澤賢治の読んだ本」を展示したことである。後者は、弟の清六氏が作成し、現在に伝わっている賢治蔵書の略目録から、代表的なものを選んだものである。三つめは、賢治の周辺資料として、宮沢賢治との交流が記された『二荊自叙伝』(斎藤宗次郎自叙伝)の当館作製のマイクロフィルムの複写の展示である。三部構成とした展示の趣旨は、賢治が作品をどんな形で、(図書、あるいは誌上に)発表していたのか、法華経信者であり、科学者の側面も持っていた賢治が一体どのような本を読み、座右に置いていたのか、斎藤宗次郎が賢治主催のレコードコンサートに招待された時の印象はどんなものだったのか等々、より賢治の素顔に近づければという思いで、展示を試みた。これをきっかけとして、見学者の賢治への興味づけになればと考えた。
また、今回は、文学部の栗原敦教授の協力で、より充実した展示が行えたことに感謝申し上げたい。特に「宮澤賢治の読んだ本」の展示では大半が、栗原教授の所蔵資料によることになった。
反省すべき点は、展示ケースのスペースが狭く、いささか見にくい点があげられる。展示期間を前期・後期に分けて、展示品の入れ替えを行うことなどの工夫によって、もう少し余裕のある展示が行えたのではないかと考えている。
マルチメディアを取り入れた試みとして、会場にパソコン1台を設置し、賢治を視覚的に紹介したCD−ROM「Kenji」の実演展示も行った。それは、見学者の興味をひいたようである。今後は、こうした電子媒体を使った展示も積極的に行っていきたいと考えている。ただ資料を並べるだけではなく、視覚的に楽しんでもらえるような展示を心がけていきたい。
*展示パンフレットの残部があります。ご希望の方は、図書館まで申し出て下さい。

展示の参考資料
1)奥田弘著『宮沢賢治の読んだ本−所蔵図書 目録補訂−』
2)栗原敦著『宮沢賢治周辺資料(その4)−<二荊自叙伝>(斎藤宗次郎自叙伝)による−』
上記1)2)は、「日本文学研究資料新集26宮沢賢治 童話の宇宙」(有精堂出版
1990.12刊)
(請求番号910.268−Mi89K)に所収