第19号(1997.12) 目次に戻る
向田邦子の多彩な作品群は、今なお世代を越えて多くの人達に読み継がれている。今年度の公開市民講座は、向田邦子の作品を中心に据えて、「家族のいる風景」〜向田ワールドにみる家族〜をテーマに開講された。また、今年は本学図書館に向田邦子文庫が開設されてちょうど10年目に当たる年でもあり、それに合わせて図書館も10月18日(土)〜11月22日(土)まで「向田邦子資料」の展示をすることとなった。
7月初めに生活文化学科の平原教授と国文学科の栗原教授のアドバイスを受け、その後何度かの話し合いを担当者間で行った。その結果今回の展示は、第一に、一般の人々が目にすることのないシナリオ資料を中心に展示して行くこと。第二は、向田文庫内も公開すること、第三に、見て楽しい展示をすることを目標とした。テーマは、「向田邦子資料展−シナリオ資料を中心に−」〜向田ワールドに見る衣・食・住〜ということになった。
シナリオ資料コーナーでは、森繁久弥氏の寄託資料である「重役読本」、「七人の孫」をはじめ「寺内貫太郎一家」、「父の詫び状」、「男どき女どき」のシナリオを図書やビデオと共に展示した。特に「重役読本」「七人の孫」では、森繁氏自身の書き込や、手直しの部分を見ることができた。また、「男どき女どき」のシナリオは、向田邦子の自筆原稿と初出雑誌の小説新潮を共に対比して展示した。これらは、生の迫力で迫ってくるものがあったと思う。
向田邦子と衣・食・住は、それぞれコーナーごとに関連資料を展示した。特に「衣」のコーナーでは甘糟幸子氏寄贈の「マーガレット」という肩掛けセーターとその説明を書いた向田邦子の書簡(複製)を展示した。これらからは、向田邦子の人となりや心遣いが伝わってくるようであった。
向田邦子と病のコーナーは、向田邦子旧蔵書の中にあった「丸山ワクチン」の本と弟の保雄氏より寄贈された遺品の「血圧計」「酒精綿容器」等を展示した。亡くなる6年前の乳ガンは、小説・エッセイを書くきっかけになったと言われている。人生の転機だったとも言えるのではないだろうか。
広がる向田邦子の世界では向田文庫で収集している「関連図書」と「海外における向田邦子」として英語・独語に翻訳された作品・作家紹介の図書と「向田邦子論」が掲載された中国の学術誌を展示した。日本の代表的女流作家の一人として海外でも評価されているのを知ってもらえたと思う。

向田文庫内には、向田邦子旧蔵書とテーブル・イス・留守番電話(保雄氏寄贈)等の遺品類がある。普段は許可制で閲覧をしてもらっているが、今回のこの展示期間中は自由に入ってもらうことにした。また、文庫内に現在作成中の向田文庫目録データベースを検索できるようにパソコン端末を設置した。見学者に自由に検索してもらえ、インターネットホームページに意見や感想を寄せてきた人達がいたのは、大変良かったと思う。今後は、これらの意見を大いに参考にし活かして行きたいと思う。
今回の展示は、学外からも多数の見学があったが、学内の学生にも向田邦子をより深く知ってもらえる大変良い機会だったと思う。
最後に、この展示会に協力をしてくれた図書館の職員諸氏に深く感謝したい。
※展示の内容を詳しく知りたい方は「向田邦子資料展パンフレット」をご覧下さい。