第20号(1998.7)      目次に戻る


自らと向き合う場としても

図書館長 板 垣 弘 子

(短期大学 国文学科教授)

  社会人一年生になったばかりの教え子から、「学生時代はよかった。今は毎日が忙しすぎて、自分の時間ももてない」と記した手紙が届きました。不安と緊張が交錯する日々。そんな毎日を彼女は過ごしているのです。

 学生時代とは、この文面からもうかがえるように、時間を自分のために自由に使うことのできる、人生のごく恵まれた一時期なのだと思います。どうぞ実り豊かな学生生活を送ってください。そのために図書館が少しでもお役に立てれば、と考えています。

 図書館の利用法はさまざまです。先ずは勉強のため。レポートや卒業論文の資料を探しに訪れることが多いでしょう。現在、本学の図書館には、大学短大併せて40万冊近い蔵書があります。しかしそれも活用されなければ、まさに死蔵。使われてこそ書物も生きるのです。

 また、時には何げなく手にした一冊の本にのめり込んでしまうこともあるかもしれません。悩んでいるのは私だけではない。この著者も同じように苦しんでいたのだということを知って、励まされることもあるでしょう。開架式というスタイルが与えてくれる偶然の好機です。

 さらに、空き時間を使ってのビデオ鑑賞なども良いでしょう。作中人物と一体化し、悲劇のヒロインを演じるのも結構。仮想の世界で夢を限りなく膨らますのも、あるいはその逆の場合であっても、ともに素敵なことだと思います。

 そして、さしたる目的もないまま入館し、静かな雰囲気の中に身を置いてみる−それも大いに歓迎です。すべてが慌ただしいこの世の中、時には立ち止まり、ひとりになる時間をもつことも必要ではないでしょうか。自らと向き合う場としても、静寂が支配する館内はうってつけの空間だといえるのではないかと思います。

 どんなかたちであれ、図書館に足を運んでみてください。充実した学生生活を送るために。