第20号(1998.7)       目次に戻る 


図書館の利用教育と情報教育

短期大学図書館学課程教授 石 井 紀 子 

 

 手元の『図書館雑誌』本年1月号「告知板」で目にとめた“「図書を探索する」の小冊子をご希望の方に差し上げます”という主旨の記事が、本学の図書館との出会いでした。早速ファックスで申し込み送られてきた手づくりのものの内容を見て、忙しい図書館業務の合間をぬって良くも粘り強く“情報の海をサーフィンしたもの”と感心しました。4月に短期大学に赴任し、改めて改訂版「インターネットで文献探索」をいただいたのですが、各国の図書館目録からオンライン書店、雑誌・新聞の検索など、無料で使える文献探索の基本的データベースが紹介されており、限られた配布では勿体ない気がします。有料にしてもっと広く多くの図書館員や研究者など必要とする方々へ頒布すれば、喜ばれることは必定ではないでしょうか。今や国立国会図書館をはじめ大学図書館や公共図書館など続々とホームページを開設し情報発信を始めましたが、文献探索機能や豊富なゲートウエイ機能をもつものは恐らく半数以下と思われます。この点から言っても、本学図書館のホームページはコンテンツが良く、図書館のスタッフの方々の前向きな姿勢をうかがうことができます。

 さらに、図書館ツアーにも参加しましたが、こうした新入生向けのオリエンテーション以外にガイダンスとして、図書館端末の使い方にはじまりCD−ROMの使い方、インターネットを利用した文献探索法、オンラインデータベースの紹介・使い方など、実践的なメニューが組まれています。私の担当科目の受講生に実施したアンケートの中でも、この有益性をあげている者も多く、一人の学生などは「1996年度のガイダンスは44回で2480名が受けた」と調査・報告してくれました。ちなみに『図書館はいま−白書・日本の図書館1997』によると、1994年に国公立、私立大学、短大、高専に行なった利用教育実施状況調査では、回答館1532のうち何らかのかたちで利用教育を実施しているのが71%、その内容をみると、オリエンテーションが61.3%ですが、文献探索法やデータベース検索法になると20〜30%台という状況です。これから言っても、本学の図書館利用教育が進んでいることが分かります。

 私はこの20年来、文献目録・索引など文献探索のツール編集を仕事とし、とくに近10年は時代の変化とともに、データベース構築、CD−ROMや電子ブック等のニューメディアの編集に携わってきました。しかし予想に反して、図書館現場への浸透はもどかしい位遅かったものですが、やっとこの5年位の間に、図書館側の予算対応も可能となり、大学図書館を中心に急速に広まっています。一方、阪神大震災をきっかけに、パソコン通信やインターネットがまたたく間に普及し、後者のユーザー数は世界で約1億、日本で1000万人に達しています。

 こうした状況に文部省もやっと2年前に「図書館法施行規則」を改正し、司書資格の科目に「情報サービス概説」「情報検索演習」などを必修として加え、また昨年は「学校図書館法」の一部改正によりニューメディア活用法を習得した司書教諭の養成を打ち出し、続いて公立小中高校でのインターネット接続整備など、矢継早やに対策を進めています。この目的は一言でいえば、21世紀の高度情報化社会を生き抜くための基礎的能力としての「情報リテラシー」の習得にあると思います。

 本学の情報教育環境整備も着々と進められておりますが、限られた司書課程の授業時間内では総論に比重がおかれ、情報利用の実践的なスキルを習得させる個人指導はむずかしい現実です。そこで前述した利用教育の成果をもとに図書館のスタッフの方々にも情報教育の一端を担っていただき、理論と実践の両面があいまって総合的な情報教育が展開できないものかと考える次第です。本当は、すべての学生が在学中に完備された図書館を使い、学習・研究に必要な情報利用法を身につけると同時に、卒業後も自立した一社会人として、こうした能力を活用できるよう育成する必要があると思います。