短冊 下田歌子自筆和歌

<幼年期>

冬河
     見渡せば 寒さぞまさる大井川 
        氷の上に つもるしらゆき 

              せき 九才 [文久二年(一八六二)]作

野鷹狩
     なに鳥か かなしき声の聞ゆなり 
        鷹かるひとや 野辺を行らん 

              せき 十才 [文久三年(一八六三)]作

山家梅
     人もこぬ 深山のおくの柴の戸を 
        はりにあけても 匂ふ梅が香 

              せき 十一才 [元治元年(一八六四)]作


 大学図書館所蔵中、最も若い頃の和歌の短冊で、幼少の頃より和歌に親しみ、習作されていたことが窺われる。