卒業研究要旨(2007年度)

子供が家で勉強する場所に関する研究

2007年度卒業研究 空間デザイン研究室 木下絵理子

1.はじめに

 現在、日本の多くの住宅で、親たちは勉強部屋として子供に部屋を与えている。だが、子供部屋=勉強する場所なのか。現代のこどもたちの勉強場所、そこでする理由などについて、アンケート調査を行った。

2.方法

 調査対象者は公立小学校6年生78名、私立女子中学校1年生109名、実践女子大学1・3年生94名である。調査は2007年9〜10月にアンケート用紙を配布、回収した。内容は、小学校高学年時の、家で勉強する場所、その場所で感じることなど、計23項目である(小学校は20項目、中学校は22項目)。

3.結果と考察

(1)勉強する場所

 自室があると応えたヒトは全体で60%おり、きょうだいと共用と合わせると92%が子供部屋を持っている。勉強する場所は、年代による差はさほどなく、平均して主に自室が約50%、主にリビングダイニング(以下LD)が約40%であった(図1)。

(2)LDで勉強する要因

 LDで勉強するのは、親や教師の指導というよりも、自主的に行っていた。また、部屋が共用かどうか、塾や中学受験による影響もあまりみられなかった。

 LD派は、普段の生活場所もLDが多く(図2)、家族とのコミュニケーションもやや多い(図3)。LD派の方が着替えや読書もLDで行う人が多いことから、プライバシー意識の違いによる影響も考えられる。

(3)それぞれの空間について

 LD派にとってのLD空間は、場所が広く使えるほか、家族との関わりやテレビを見ながら勉強できる場所と捉えられている(図4)。一方自室派にとっての自室とは、一人で集中できるが、気も散りやすい空間になっている(図5)。

4.まとめ

 小学校の半分近くの子供は、自分の部屋でなくLDで勉強している。それは、とくに大人の指導と言うことでもなく、勉強の必要性や効果という側面も弱いようだ。小学校の段階ではまだ、プライバシー意識も低く、また一人で集中して勉強することよりも、家族の存在を感じながら勉強することを選ぶ子供が多いのかもしれない。

(図1)家で勉強する場所(グラフ)
(図2)家で主に過ごす場所(グラフ)
(図3)一日の家族との会話(グラフ)
(図4)LDで勉強する理由(グラフ)
(図5)自室で勉強することについてどう思うか(グラフ)



2003-2008, Space Design Laboratory, JISSEN Univ.
Status: 2008-01-30更新