卒業研究要旨(2008年度)

私のまちのタワー〜路地から広がる散歩マチ〜

2008年度卒業研究 空間デザイン研究室 平岡美樹

1.背景・目的

 埼玉県所沢市の中心市街地にある銀座地区には、「所沢市中心市街地街並み整備計画」に基づき100m規模のタワーマンションが続々と建設されている。しかし、低層住宅地域に建つ巨大なタワーマンションは閉鎖的で威圧感がある。また、周辺地域で以前よく見かけていた近隣との交流や懐かしい風景もなくなってきており所沢の街全体も閉鎖的になっているのが現状である。
 このような現状を改善するため、タワーマンション2棟とその周辺地域を敷地として、タワーマンションと周辺地域が馴染み、人々から好かれ親しみやすい空間をつくることを提案する。

2.設計趣旨

「タワーマンションの改造」

 タワーマンション中層部に図書館や美術館を設置し、屋上を広場としてタワーマンションを開放し表情をつけ威圧感の軽減を図る。
 それにより、地域の人々も訪れるようになりタワーマンションが地域に馴染む。

「低層住宅地の形成」

 起伏のある地面をつくりタワーマンションを馴染ませる。また、小スケール住宅を散らばすことで多様な路地をつくり、住宅と外を連続させる設計を行った。
 それにより、住民同士の距離が近くなり互いに気を使う良い関係を築き、またふらっと立ち寄った人とも交流をし、そこで新たなコミュニティを形成することができる。

3.所沢の街に新しい価値をもたらす

 おはじきのように散らばった小さな住宅がつくる路地は、この先には何があるのだろう、と好奇心そそる不思議な空間であり、そこで出会った人や景色はその時によって変わり、それらの変化を楽しむことができる。
 またタワーマンションでは図書館に本が無くても、タワーからの眺望や館内で思いがけない本に出会えたり、屋上では空を近くに感じたりと、タワーマンションは人々に好かれる場所となる。
 多様な変化のある空間は人々の暮らしを楽しませることができる。以前は閉鎖的で威圧感のあった所沢は、散歩マチをはじめとしてのんびりと穏やかな時間が流れる街となる。

(図1)敷地模型(写真)
(図2)模型写真
(図3)立面図
(図4)断面図



2003-2009, Space Design Laboratory, JISSEN Univ.
Status: 2009-01-22更新