卒業研究要旨(2010年度)

こどもの城・再計画 〜HEART=FULL 世代に繋がる居空間〜

2010年度卒業研究 空間デザイン研究室 老後麻美

1.はじめに/目的

 1985年から親子のための総合児童センターとして現在も続く、「こどもの城」。利用者は多く、本年度は25周年でイベントも予定されており、さらなる集客数が見込まれるが、老朽化も進み、前年度は47,026人の減少となっている。
 そこで、こどもたちのための総合児童センターとして新たに再計画をすると共に、表参道ー渋谷間という立地を活かしつつ、様々な目的を持ち、幅広い世代が訪れる環境を活かした、都心でありながらも心安らげる居空間を提案したい。

2.対象敷地/周辺環境

「こどもの城」
所在地:東京都渋谷区神宮前
敷地面積:9,923m2
建築面積:6,001m2
建築主:厚生省(当時)
運営:財団法人児童育成協会
 「芸術・科学・体育・保健・保育などこどもの文化と福祉のための総合施設」として運営されている。「こどもの城」へ実際に訪れたところ、施設の老朽化だけではなく、パイプいすや殺風景な空間は病院のような印象を受け、こどもの利用する空間とは程遠いと感じた。
 次に、周辺環境は4つの地域に分類できる(図1参照)。この4つの地域の異なる点を意識すると、(1)世代が幅広いこと、(2)目的を持って訪れていること、(3)賑やかさ・静かさが大幅に変わること、(4)商品価格の差が大きいことが挙げられる。このような変化のある地域だからこそ、「誰もが時間の流れをも忘れて、一息つけるような空間」が求められていると考える。

3.コンセプト/考察

・こどもの城・再計画
 (1)こども目線の空間(明るい・見やすさ・遊び)
 (2)親子目線の空間(コミュニケーション・安心)
・周辺環境
 (3)一息つける空間(世代を問わず、目的を必要としない)
 (4)自然を感じる空間(時間の流れを体感する)
 この4点をコンセプトの軸とする。目まぐるしく変化する都心部に「こどもの城」の機能を残しつつも地域との関わりを持たせることで、地域全体の活性化を図り、更なる利用者を引き込む。
敷地レベルでは、こどもの遊びの要素を敷地に散りばめ、4つの地域の利用者を意識して一息つける空間を配置する。 その結果、こどもたちとそこに訪れた人々に繋がりが生まれる。変化のある空間を様々な角度から体感することで、たくさんのハートが出会う「新たな共通の居場所」が生まれるのだ。

(図1)敷地周辺地図
(図2)模型写真



2003-2011, Space Design Laboratory, JISSEN Univ.
Status: 2011-01-28更新