卒業研究要旨(2011年度)

さんぽまち 〜明大前駅・周辺地域再開発計画〜

2011年度卒業研究 空間デザイン研究室 小橋美紀

1.はじめに/目的

 明治大学が近くにある明大前駅は通勤通学時の乗り換えに便利な駅であるために利用者が多い。しかし乗り換えでの利用者が多いにも関わらず駅の外に降りたことのある人は非常に少なく、「明大前」という名は知られているもののそれといった特徴のない街という印象が根付いてしまっているのが現状である。

 この現状をふまえ、
(1)乗り換えで駅を利用する人にとっての明大前
(2)明治大学に通う学生のための明大前
(3)住人にとっての明大前
この3つの利用者を軸にした明大前を作っていく。

 それぞれの明大前に対する不便さを解消することはもちろん、この駅を乗り換えでしか使ったことのなかった人々にとってはふらっと寄りたくなってしまう魅力ある街に、明治大学の学生にとってはわざわざ渋谷や新宿へ出なくともこの街にいたいと感じ、とどまりたくなる街に、地域住民にとっては居心地の良い過ごしやすい街に、そんな、今までの明大前ではない「明大前」をこの再開発で生みだしたい。

2.対象敷地/周辺環境

<街>
東京都世田谷区明大前駅周辺
敷地面積:25,215m2(123m×205m)
住宅と商店が混在して並ぶ地域で、街の利用者は地域住人と明治大学の学生が主となっている。

<駅>
京王線と京王井の頭線の二線の通る駅で、ホームは京王線が高架型、井の頭線が地下型をとっている。新宿、渋谷、吉祥寺、八王子と様々な方面に出られるアクセスの利用頻度が高い駅である。

3.計画/考察

<街に人々を呼び込むための手段>

(1)街を視覚的に魅力ある街にする
 街並を特徴的に、駅の外観に特徴を持たすことで見た目から惹き付けられるようにする。

(2)動線をいくつも設ける
 あっちにはこんな道が、こっちにはこんな道が、と探検したくなるように道を作ることで人々を飽きさせない街となる。

(3)中と外との繋がりを作る
 外を歩いていると建物の中の人の動きが見え、建物の中にいる時は外の人の動きが見える。内と外に関係を作り出す事でどちらかが閉ざされるという事が無くなる。
 現在の殺風景な景観から一変して、建物を上へ上へと積み上げる形の街を設計した。駅側から甲州街道に向かって高くなる建物が乗り換え時や改札を出た時に見ることで、奥に行ってみたいと感じさせる。またその建物の間を通るいくつもの道が人々に歩いてみたいと思わせる。歩いていると外で過ごしている人、中で過ごしている人どちらとも顔を合わせることができ、多くの人々と繋がりを持つことができる。
結果、明大前がただ目的を果たすために通り過ぎていた街から「散歩したくなる街」に変わる。大人から子供まで多くの人々が集い、どこへ居ても自分のすぐ近くで他の人の動きや行為を感じることが出来る。そんな、今までの明大前ではない「明大前」がこの再開発で生み出される。

(図1)対象敷地
(図2)模型写真



2003-2012, Space Design Laboratory, JISSEN Univ.
Status: 2012-01-29更新