卒業研究要旨(2011年度)

でこぼこ・ひろば 〜高崎市の新たな交流拠点の提案〜

2011年度卒業研究 空間デザイン研究室 小林奈保子

1.目的

 群馬県高崎市は、古くから交通の要衝・商業のまちとして栄え、現在では県内で最大の人口規模を誇る都市である。高崎駅を中心とした中心市街地は、多くの行政・文化・公共施設が集まっており、また古くからの商店街も多数残っている地域である。
 しかし、郊外への大型ショッピングセンターの出店や、群馬県の大きな特徴である車社会、急速に進む高齢化などにより、中心市街地の商業が衰退し、かつてのようなにぎわいがなくなりつつあるのも現状である。
 そこで、高崎市に老若男女がいつでも気軽に立ち寄れる新たな交流拠点を計画する。幅広い世代が同じ時間・同じ場所を共有でき、周辺地域の活性化にもつながるような空間を提案したい。

2.対象敷地/周辺環境

「もてなし広場」
所在地:群馬県高崎市高松町
敷地面積:12,592m2
 旧市庁舎跡地。解体後に広場として整備、平成11年4月1日に一般開放された。名前は「高崎に訪れた来客を温かく迎えたい」という思いが込められている。毎月行われる「高崎人情市」をはじめとしたイベント時には多くの人でにぎわうが、普段はコンクリートの殺風景な空間が広がり、敷地が有効に利用されていないと感じた。敷地のある高崎城址地区は、高崎市役所や群馬音楽センターなどの公共施設が多数立地する「行政・文化・医療機能のコアゾーン」であり、様々な年齢・性別の人が利用する地域である。

3.コンセプト/考察

<でこぼこ>
・利用する年齢層、性別が「でこぼこ」
 お年寄りと小さな子どもが一緒に遊んだり、社会人と学生が一緒に勉強したり、様々な交流が生まれる。
・空間が「でこぼこ」
 5層のフロアに穴をあけたり、空間を重ねたりずらしたりして配置することで、様々な居場所が生まれる。

<映画>
 小さなシアターを建物内にばらして配置することで、チケットを買ってから席につくまでの新しい動線・楽しみ方を提案する。

<広場・ステージ>
 現在のもてなし広場の要素を残すために、敷地の中央を大きな芝生の広場とする。また、様々なイベントに対応できるステージを配置する。

 目的をもって訪れる人、ふらりと訪れる人、様々な人たちが利用できる交流拠点とすることで、中心市街地の活性化につながることを期待する。また、地域住民が自分の住むまちへの愛着や誇りを持つことができる、そんな魅力ある居場所となることを目指す。

(図1)敷地周辺地図
(図2)模型写真



2003-2012, Space Design Laboratory, JISSEN Univ.
Status: 2012-01-29更新