SpaceDesign Labo, JISSEN Univ.
2012年度卒業研究 空間デザイン研究室 岡田英子
東京は沢山の川や水路が張り巡らされていた地である。かつて人々の賑わいは水路に集まり、水運が非常に重要であった。現在では電車や車などの交通が発達し、水路交通に変わり、移動手段の要を担っている。
既成交通網の利便性と比較した場合、水路交通の優位性は決して高いとは言えないが、水路交通ならではの魅力は並び無いといえるかもしれない。
近年、水路は埋め立てられ、水と建物、水と人との関係は断たれてしまっているケースが多く、まちに関わる人々に必要不可欠な都市の要素として認知される事は限りなく低い。
失われつつある水路の有利性を再認識するために、水路と密接に関わる事ができる街づくりを本計画の研究目的とする。
今回は築地市場跡地をケーススタディとし、その都市の地域的コンテクストを十分に活かせる魅力的な空間を提案する。
水路を地域に根付かせ、魅力的な空間にするためには、本計画敷地のみではなく、都市スケール、広域な視点をもって提案する事が重要と考える。商業的な観点のみ重視したような、いわゆる『テーマパーク』な街づくりにならない点に留意する。当該敷地周辺の水路や河川などと関連づける計画にすることが必要である。 敷地に水路を張り巡らし、住民の通勤活動や水上マーケットの開催など生活の一部として活用する。 水路は、水と緑の潤いのあるオープンスペースとして貴重な自然空間を形成する機能、周辺と一体となって魅力的で賑わいのある空間を創出する機能となる。
国内旅客線のターミナル港を計画し日本国内からの旅行者を集めることができる。さらに、水上バスの活用により、観光客と観光地をスムーズに繋ぐ事ができる。既成交通網との接続も行い、計画地の利用頻度を高める。
近年の都市開発では高層ビルを乱雑し、ビル同士の繋がりはなく人々のコミュニケーション活動は希薄である。今回の計画では上層部で建物同士を繋げ、図書館や屋上庭園、劇場やプール、フィットネスなど様々な人が利用できる空間になっている。敷地内の住居の居住者やオフィスで働く人々だけではなく、周辺地域の人々なども気軽に利用できる空間にすることでコミュニケーションの場となる。
地上階は水路が張り巡り、水路交通が発達することで水路が生活の一部として機能するようになり、水、緑、人の一体化する。それにより豊かで賑わいのある空間を形成する。
建物は水路の間に建ち並び、船上からの視線の変化が生まれることで、様々な風景が生まれる。建物はオフィス、住居などそれぞれ機能に分かれているが上層部で繋がることで1つのボリュームとなり、敷地を覆う形になっている。
(図1)模型写真
2003-2013, Space Design Laboratory, JISSEN Univ.
Status: 2013-01-23更新