卒業研究要旨(2013年度)

学校×まち

2013年度卒業研究 空間デザイン研究室 古屋裕美

1.背景目的

 小学校〜高校生までは学校内で過ごす時間が1日の約1/3を閉めている。生徒にとって学校はとても大切な場である。大切な場をどのように過ごしてもらうのかは、空間にも影響してくるのではないのだろうか。生徒が自分らしく、生活するためにはどのような空間があればよいのだろうか。  また、門や塀で閉じてしまい、地域との繋がりがあまりない学校も多くある。地域の方と関わり、生活することが生徒の価値観を広げること、人格形成にも重要なのではないでしょうか。地域と学校との繋がりを考えていきたい。

2.対象敷地

・敷地概要
 山梨県甲府市酒折駅周辺  敷地面積 16200m2
 酒折駅周辺には、山梨学院中学校・高校、甲府東高校、山梨学院大学があり、生徒や学生が多く利用する駅である。

・対象学校
 山梨学院大学付属中学校  対象人数 160人
 山梨学院中学校は、一部が中高一貫であり、 約1/3の人が酒折駅周辺で6年間を過ごす。中学校は勉強を重きにおく学校になっている。

3.計画

全体計画:

 学校×まち・生徒×地域の人
 学校だけの敷地と決めてしまうのではなく、学校を地域の中に埋め込み、地域の方と寄り添いあう学校を目指す。また、勉強をするだけではなく、地域の方と関わりながら、自分の将来について考える学校を目指す。

学校:

 特徴のある授業構成を4つ作り、4ブロックにわけ、教室を地域の中に埋め込んでいく。また、1クラス10人程度の小人数制クラスであり、1ブロックに4クラスある。このブロックを3ヶ月に1回ずつ移動していく。
(1)広場を通って教室移動
 教室は丸テーブルにし、みんなで授業という形をとる。また、天気の良い日は広場で授業をし、地域の方も交えた授業をしていく。
(2)商店街の中に教室を埋め込む
 ここは個々で集中して勉強するところである。教室は道からガラス張りになっていて、勉強していることはわかるけど、それ以上は関われない。というなんとなくの関わりを持たせる。
(3)4クラス合同の大きな教室
 ここのブロックでは、基本的に教室にいることなく、職場体験に行ったり、地域活性を考えるために様々な所にいったりと外出の多い場所である。そのため、4クラスで大きな1つの教室にしている。また、放課後は、小学生や中学生、ほかの高校生などの溜まり場になる。
(4)大学生のシェアハウスのリビングを教室
 昼間あまりいない大学生のシェアハウスのリビングを借り、授業を行う。ここでは、先生が空き時間の大学生であり、各々で自主学習をする。しかし、昼にみんなでご飯を作ったりと、協調性を学ぶことができる。

まち:

 駅周辺にいくつかの店をおき、地域の方が買い物にくるようにする。また、デイサービス施設や託児所などの施設も複合し、老若男女集まるまちをつくる。また、生徒と一緒に考え、まちをつくっていく。
 まち並みとしては、建物をでこぼこさせ、隙間をつくっていく。そこの隙間に、住んでいる人の生活感やお店の特徴を出していく。

つながり:

 教室には廊下を設けず、道路を廊下と考え、自然と地域の方と顔合わせをできるようにする。また、教室をガラスばりにしたりし、授業の雰囲気が外を歩いている人にも伝わるようにする。そして地域の方と授業を受けたり、地域の方が授業をしたりと、地域の方との関わりをつくる。

4.考察

 学校をまちに埋め込むことで、普通の学校では味わうことができないような体験ができ、新たな価値観が生まれる。また自然と地域の方と関わる機会ができ、地域と学校の関係が、密になる。そして地域の方と学校がともに協力し、地域を活性化させていくことができるのではないのだろうか。

(図1)広場を通って教室移動(写真)



2003-2014, Space Design Laboratory, JISSEN Univ.
Status: 2014-02-09更新