卒業研究要旨(2013年度)

武蔵野プレイスがつくりだす魅力 〜居心地と居場所の視点から〜

2013年度卒業研究 空間デザイン研究室 村上由貴

1.研究的

 武蔵野プレイスは武蔵野市にある図書館を中心とした公共の複合施設であり、多くの人に利用されている。その人を惹きつける魅力を探り、居心地の視点から考えていくとともにまちの居場所としての公共施設の重要性についても併せて論じることを研究目的とする。

2.研究方法

 武蔵野プレイスの概要については(図1)に示す。

(1)ヒアリング調査
 運営者にインタビュー形式で印象や運営についてお話を伺った。(11月28日14:00〜15:00に実施)
(2)アンケート調査
 施設入口にてアンケートの配布・回収を行い、548人分の回答が得られた。(12月1日10:00〜22:00に実施)
(3)利用者行動調査
 利用者の様子(性別、年代、行為)を一時間ごとに各階図面上に記録。(12月6日(金)、7日(土)10:00~22:00に実施)

3.結果・考察

(1)全体の特徴

 アンケート・行動調査から、全体的に幅広い年齢層に利用されていることが分かった(表1)。約半数は武蔵野市外からの利用である。利用頻度は約半数が週1回以上利用しており全体に頻度高く利用されている。利用施設は図書館の利用率が全体の90%と最も高いが、その他にカフェ、1階ギャラリーの利用も高く、年齢層も幅広い。青少年フロアは10代の約70%が利用している。3・4階会議室は利用者層に偏りがあるがコンスタントに利用されている。利用の時間帯は利用者層によって使い分けられている(図2)。仕事をしている人は平日の夕方以降の利用が多く、主婦の人は平日の昼間の利用が高い。60代70代の人は平日の昼の利用が多く、利用頻度もかなり高い。
 こうした結果から、人によってそれぞれの使い方がされ、各自の生活スタイルに合った利用ができていることが分かった。また、駅前という立地や広々として開放的な施設空間が、一人で落ち着いてゆったりと過ごせるなどの評価が高かった。

(2)滞在時間の特徴

 平均滞在時間は1時間だが、30分未満から3時間以上まで滞在時間は幅広く分布しており、最大で12時間以上の人もいた。滞在時間が長い人は利用頻度も高い(図3)。そのうち学生の勉強としての利用は半数程度で、他にも様々な人が長居できる施設となっていた。多くの人にとって居心地の良い居場所のような空間になっていることが推測される(図4)。

4.まとめ

 武蔵野プレイスの魅力は、駅前という立地やデザインの面だけではなく、性別・職業・年齢・人数など訪れる人が限定されず、どんな時・どんな人でも受け入れ訪れやすいことにある。夜遅くまで開館するなど運営方法の面でも利用者の幅を広げている。多様な機能と多様な居場所があり、多様な使い方ができることが武蔵野プレイスの魅力で、何度も来たくなる、長く居たくなるような、居心地の良い空間となっている。このような公共施設があることで人々の居場所を増やし、まちも生活もより豊かになっていく。

(図1)調査対象地概要
 武蔵野市立『ひと・まち・情報 創造館武蔵野プレイス』とは、JR中央線 武蔵境駅の駅前に位置する、図書館機能をはじめとして「生涯学習支援」「市民活動支援」「青少年活動支援」等の機能を併せ持った複合施設である。 「武蔵境のまちづくりの推進」の一環として、西部図書館を移転拡充し、人々の交流が自然に生み出される質の高い「場」を提供し続けることによって人々の活動や交流のネットワークの活性化を促す。
【利用人数】
年間150万人
平日4000〜5000人 休日6000人

(図2)職業別 利用時間帯
(図3)滞在時間別 利用頻度
(図4)滞在時間3時間以上
(表1)回答者年齢



2003-2014, Space Design Laboratory, JISSEN Univ.
Status: 2014-02-09更新