卒業研究要旨(2013年度)

立川駅南口周辺の公園の在り方を探る 〜公園利用調査をして〜

2013年度卒業研究 空間デザイン研究室 杉山果帆

1.はじめに

 街の中にはさまざまな公園があるが、多くの人で賑わっている公園がある一方で、誰にも使われていない公園もある。本研究は、ある一定のエリアの範囲内にある全公園の使われ方を調査することで、実態を把握し、その使われ方の違いの理由について検討する。

2.調査方法

 立川駅の南側、東西約800m、南北約600mの範囲にある20カ所の公園を調査対象とした。各公園を平日と休日に1回ずつ、1日2時間ごとに4回巡回し、利用の実態を記録した。調査は2013年12月26日〜2014年1月12日にかけて行った。巡回した20カ所のうち2カ所は工事で使用できない時期と重なったため、18カ所の公園を分析の対象とする(表1)。

3.結果

(1)全体的な特徴(図1)

 利用者の多さは、駅からの距離など立地による影響よりも、公園の規模に大きく影響されている結果となった。中でも近隣公園として整備された、この地域最大の公園であるNo.2が最も利用者が多く、次に利用者の多いNo.6、No.9はいずれも1500m2以上の街区公園であった。街区公園の中でも、やや小規模なNo.3やNo.17は、利用者数もあまり多くない。500m2に満たない住宅地内の小公園は、おおむね利用者数が10人未満であり、いつ見てもほとんど人のいない公園になっていることが分かった。
 平日と休日で比較すると、全体の利用者数は平日・休日の差はあまりない。公園によって、平日・休日ともに利用されるもの、平日に比べて休日の利用がおおいもの、休日に比べて平日の利用が多いもの、などの差が見られた。

(2)公園ごとの特徴

 各公園の特徴をみるために、利用者の属性や活動の様子、時間の変化などについて分析した。
 No.2の例を図2に示す。平日・休日ともに多くの人に利用されているが、利用され方は平日・休日で差がみられた。平日は幼児連れの保育士や母親グループが多いほか、1人で訪れる高齢者の散歩などが見られ、近所の人が気軽に利用している。一方休日は、小学生と父親・母親の家族連れがほとんどで、少し遠くから家族単位で訪れる娯楽性の高い公園として利用されていた。広い園内には遊び場・ベンチ・散歩道など複数の空間が整備され、多様な利用が可能になっている。

4.まとめ

 ある程度まとまった広さがあり魅力的な遊具がある公園は、子供に人気が高い。規模が大きく園内に多様な場所が作られている公園は、幅広い年代の人に多様に利用されていた。近隣住人の通り抜けなどがあると、ちょっと立ち寄るような利用がみられた。いっぽう住宅地内の小公園の多くは、新しく設置されたものでも極めて利用が少ないという結果となった。身近であっても利用したくなる魅力に乏しいと言える。

(表1)調査対象公園一覧
(図1)公園の利用者数
(図2)公園No.2の使われ方



2003-2014, Space Design Laboratory, JISSEN Univ.
Status: 2014-02-09更新