卒業研究要旨(2014年度)

まちあるきの先に

2014年度卒業研究 空間デザイン研究室 堀麻理子

1.はじめに

・地方都市の問題点
 今回対象となるいわき駅前は、駅前再開発で商業施設や住宅が高層化され移り変わる駅前の風景、一歩外れればシャッター商店街が続く寂しい駅前の風景がある。そんな二面をもつ地方都市は全国に多く、地方都市共通の問題点でもある。また、目的地へ車移動で街中には人が流れない車社会問題も地方都市では深刻である。

・いわき駅前の商業施設と商店街
 2007年に駅前再開発で建設された駅前の大型商業施設には洋服や雑貨、食料品等の店舗をはじめ、図書館、会社、学校、展示スペースが入っている。しかし商業施設の建物が内に閉ざされた空間であるため、商業施設を訪れた人々は施設内で用事を済ますことができ、街により一層人々がでていかなくなり、商業施設周辺の商店街には人が流れず閑散としているのが現状である。
 本計画では、現在ある商業施設を見直し、対象敷地に散りばめ、商業施設内にとどまりがちだった人々に町に目をむけてもらえるようにする。町に開いた店舗や施設を通して人が町をあるき、商店街の再生とともに、住民・観光客同士の交流の場を含めた駅前のまちづくりを計画する。

2.対象敷地

・敷地概要:福島県いわき市いわき駅前周辺
・敷地面積:10000m2程度
 いわきの街の顔ともいえるいわき駅前に再開発でできた商業施設の建設地とタワーマンション建設予定地を含む敷地を対象敷地とする。(図1)

3.設計計画

 再開発で建設された、街に閉ざされ駅前の商店街と関わりがない商業施設を改めて見直し、前者、後者ともに関わり合える新たな街をつくることで、かつて栄えていた街の商店街にも人の流れをつくり、変化させ新たな活動場所が生まれ、人があつまるのではないか。また、お店が並ぶ通りが人びとのふれあい交流の場となり、車で通過するだけだった人にも立ち寄ってもらえるようにする。

【1エリア】通り道と○○

・各施設・店舗…通り道に多種の店舗を設置し立ち寄りやすくする。通り過ぎるだけの道から人々の交流が生まれる。
・ステージ…音楽のステージを設け、音楽にかかわりの深いいわき市民と観光客との関わりを持たせる。
・行事…年間を通して駅前に何百人と街に人があらわれる七夕祭りや盆踊りのにぎわった雰囲気も味わえる空間も街に取り入れる。(図2)

【2エリア】商店街と○○

・情報交換スペース…学生が放課後立ち寄り、他の学校の人と交流を深める場や、子持ちで家にこもりがちなママ友の話し合いの場のような、使われる年齢層の広い空間を設け、それぞれが情報交換できるような新たな交流の場を設ける。
・音楽…音楽の個人練習スペースとして貸し出しできる部屋を完備。
・歴史…いわきの歴史に触れることのできる空間を設ける。

4.考察

 みちと各施設・店舗が魅力的なものとなり、駅前周辺も活性化され、いわき駅前全体がいわきを象徴する”風景”として存在し、人々のよりどころとなり、まちあるきの先にいわきの魅力を感じてもらえることを期待する。

(図1)対象敷地の周辺地図
(図2)1エリア イメージ模型



2003-2015, Space Design Laboratory, JISSEN Univ.
Status: 2015-01-25更新