卒業研究要旨(2014年度)

すわこい

2014年度卒業研究 空間デザイン研究室 宮坂美緒里

1.はじめに

 長野県にある上諏訪は、人口5万人〜10万人規模の都市の中で、一番標高が高く過ごしやすいところである。諏訪湖に始まり八ヶ岳や富士山が見える展望のよさ、温泉などの自然豊かな環境、四季折々素晴らしい自然の恵みがある場所であり、都会でもない田舎でもない上諏訪は、観光はもちろん県外からの問い合わせも多く、第二の人生の候補地としてあげられている。

2.概要

(1)対象敷地

 長野県諏訪市上諏訪駅前(旧丸光、旧スワプラザ跡地)
 約15000m2の商業地域
 この対象地には2つの商業施設があった。1965年に開店した当時は、国鉄やバスでも買い物客を集めるほど地元を代表する百貨店だった。しかし2014年12月に閉店し、現在新たな建物を作るための開発会社が立ち上がり、話し合いを進めている段階である。そこで新たにその場所にセカンドライフの人をターゲットとした、集合住宅を主とする複合施設を提案する。

(2)対象者

 この住宅で暮らす人は、上諏訪に住む人や他の場所から来た人、どんな人でも、この建物・住まい方に魅力を感じ、この場所をセカンドライフの地として選び、暮らしていきたいという人。施設は周りの住民、通りすがりの学生、会社員、観光客など、誰でも対象とする。

3.コンセプト

 「魅せる+通る」中の様子を外に魅せることで、中に居る人も外に居る人も楽しくなる。それがいくつもあることで1つの面白い建物ができる。ここで暮らす人は、他の住宅からの刺激も受けながら、自分の趣味を磨いていき、外とも繋がることができる。周辺で暮らす人は、日々変化する建物を見ていて飽きず、楽しい気分になれる。
 通りすがりの人は、思わず通ってみたくなる。そしてこの建物があることで、上諏訪に住んでみたくなる。この建物があるから、上諏訪に訪れてみたくなる。観光客にとっても、上諏訪の街にとっても、新たな観光スポットになる。タイトルにあるように、すわこい、すわ来い、すわ恋。上諏訪に来てほしい、来たい。上諏訪をもっと好きになる、上諏訪に恋をするという気持ちが、この施設によって生まれる。

4.デザイン

(1)外観

 敷地に面する2つの大通りからの人の流れを考え、2つの軸がクロスしたような集合住宅がこの敷地の大部分を占める。この場所を通って駅へ行ったり、駅からこの場所を通って上諏訪の街へ出て行く。集合住宅にかかる縞模様の屋根は、外から少しだけ中を見せることで、もっと中を見てみたいと興味を湧かせ、中に足を運んでもらうためである。その周りを取り囲むように一周しているのが大小様々な四角を組み合わせた、ウォーキングやランニングが出来る施設である。気付くと集合住宅の中に出ていたり、屋根の上にいたり、中にいても、外からみても楽しい建物である。

(2)集合住宅

 住戸は2つ曲線上に建ち、向かい合う2面がガラス張りである。それぞれの住宅がロフトやそれぞれの趣味を魅せる空間を持つ。そこではお店を開いたりミニコンサートを開いたり、パーティーを開いたり、中だけではなく、外ともつながりをもった住宅である。壁のない空間はカーテンで仕切り、好きなように利用できる。

(図1)対象敷地周辺図
(図2)敷地模型写真



2003-2015, Space Design Laboratory, JISSEN Univ.
Status: 2015-01-25更新