卒業研究要旨(2018年度)

街のイメージの相違と実態 〜二子玉川の位置づけ〜

2018年度卒業研究 空間デザイン研究室 岡田実樹

1.はじめに

 二子玉川は商店街と高島屋、二子玉川ライズなどの複合施設があり、また近くには多摩川が流れ、国分寺崖線、二子玉川公園など水と緑豊かな自然環境も特徴である。一部では、高級感が漂い、行きにくいイメージがあると語られるが利用者の実感とは離れている印象もある。ここでは、二子玉川という街のイメージとその街の魅力について明らかにすることを目的とする。

2.二子玉川概要

 砂利石の広がる多摩川河川敷の宿場町が玉電の開通をきっかけに二子玉川園が開園し、行楽地へと発展した。昭和40年、日本で初めての郊外型デパートとして誕生した玉川高島屋S・Cには大きな注目が集まった。平成16年にはS・C裏路地にかつてこの地にあった頃の歴史を感じさせる飲食店街柳小路もオープンし、行楽地から商業地へと変貌を遂げた。
 2011年には二子玉川ライズが誕生。ショッピングだけでなく、オフィスで働く人々や緑に囲まれた住宅で暮らす人々が集う街である。

3.研究方法

 二子玉川及び、比較対象として自由が丘、立川、吉祥寺、下北沢のイメージを問うアンケートを実践女子大生に実施した。(139人から回答)
 次に、実際に現地に赴き、街のイメージや利用目的などを聞くアンケートを行った。10代〜70代の65人から回答を得た。

4.結果

4-1学生アンケート結果

 自由が丘は、雰囲気のある、高級感、静か、統一感があるイメージ、立川は、庶民的、行きやすい、親しみやすいイメージ、吉祥寺は、好き、楽しい、居心地がよいの高評価、下北沢は、庶民的、個性的、雰囲気のある、統一感がない、とそれぞれの街の特徴が出た。それに比較して二子玉川は、やや高級、行きにくい、静か、派手ではない、個性がない、気分が上がらない、緑が多いイメージが強かった。自由が丘のイメージに類似していたが個性はあまり感じていない。
 二子玉川に行ったことがある人とない人を比べた結果、行ったことがある方が、静か、新しい、開放的、居心地が良い、洗練されている、気分があがる、などのイメージが高い結果となった。
 二子玉川の認知度は9割と高かったが、7割は行ったことがなく、世田谷区内かその近くに住んでいる人以外は利用することが少ない。その結果、イメージに鮮明さを欠いている可能性がある。

4-2二子玉川現地アンケート結果

 現地で来訪者に尋ねた二子玉川のイメージは、好き、高級感のある、行きやすい、新しい、洗練されている、雰囲気の良い、個性的ではない、が目立った。学生と比較すると、高級感がある、緑が多い、居心地が良い、洗練されている、気分の上がる、などのイメージがより強くなっている。二子玉川の街としての良さは、いろいろなお店が揃っており、目的がなくても歩き回ることができる、街と建物の雰囲気が良い、という意見が多く出た。交通手段に徒歩、自転車、バスが多く挙げられたことから、二子玉川は近くに住んでいる人が便利とし、多く利用する街であることが分かった。

5.考察

 二子玉川は、わざわざ行こうとする人は少ないが、実際に利用している人は何回も足を運んでいる場所であり、高級感が漂い、新しく、雰囲気が良い、落ち着いている、静か、というイメージが強かった。気軽に来られるところでありながら、高島屋やライズなどの少し高級感の感じられる施設があり、緑もあって落ち着くことができ、居心地の良さが表れているのが二子玉川である。

(図1)学生による5つの街のイメージ比較
(図2)学生と現地での二子玉川イメージ比較



2003-2019, Space Design Laboratory, JISSEN Univ.
Status: 2019-01-17更新