卒業研究要旨(2021年度)

自然と動物と共にここで生きていく

2021年度卒業研究 空間デザイン研究室 菊池夏美

1.はじめに

 今ではお金という対価を払って手に入れている食料だが、自分たちで育てて狩って生きることは知らないで生活している。自然や動物に対しても自然をなくしてまで人の住む場を作るより、共存してこそ本来ある生活の形に近いのではないのだろうか。

 また人と動物は自然と共存して暮らしていないと感じる。今後自給自足生活が訪れる時が来るかもしれない、そのときにここがその時代の最先端な場所になり得ることを望む。

2.設計コンセプト

「狩りして暮らす、閉じ込めた世界」

 狩りして暮らすために建物の中での世界で完結している場所。自然にあふれていて、農業や放牧をして育てることや、動物もいて共に生きながらも自分たちが生きる上で動物を狩りして食べて共存して生きていく世界になっている。

人と協力して一緒に暮らすことができる人や自分のことは自分で行動できる人が住むことで日々の生活の質の向上や自然と共存する知識、人と協力していくことでの人間関係の発展や新しい発見など普通の暮らしでは起こりえない人と自然と動物との未知的な関係が見えてくる。

3.計画

1)自然の空間を閉じ込める縦に⻑い建物

 真ん中が吹き抜けになっていてぐるぐる回って上に登っていき、違う雰囲気のエリアに進んでいくなど住むところによっては景色が変わってくる。

 また上に行くほど過酷な環境となっており、下層は初心者または子どもなどが遊べる平和な環境。上層は上級者向けの自然、生態環境となっている。日が入るように凸凹した形で様々な自然の環境を同じ建物の中で創りたいと思いこの形態にした。

 動物も草原なら牛や豚、羊が生息、森には猪や狸、狐が生息して環境にあった場所で生息している。違うエリアにも動物は行き来でき、自由な行動が可能。水の流れは最上層から流れてきて滝や湖などの山から流れて、最下層まで落ちたらポンプで汲み上げてと水が循環している。自然の力も使いつつ人が手を加え、よりよい自然の状態、動物の生き方を保っていき、人の生活も自然恵みで生きていると考える。

2)自然からはみ出したように存在する住居

 住宅は自然部分のタワーからはみ出したように小さな集合住宅がポツポツとあり、何個かの集落がある状態。協力して狩りをしたり、料理を楽しんだり、必要なものは自分自身で作り上げたり、自立した、生きていくすべを身につけていく生活になっている。10~15軒ほどの集落が何個もあるイメージ。住居は基本ワンルームで自然のある空間に出て暮らすことが前提となっている。家族用の住居もある。

4.生活

1)住⺠

入居すると初心者は下層の方に住み、狩りや自然との共存の生活になれてもらう。できることが増えてくると上層の方に住めたり、狩りの指揮や自然を維持するための調査や行動、単独での狩りやなどここでの人としてのあり方も変わってくることもある。 また向き不向きもあるのでその人にあった農作の管理や水の管理、生態系の管理など上級者には生活の基礎となる部分の維持など人々の暮らしを守っていくことになっていく。生きる場所を守ることが生きがいになる。

2)外との繋がり

基本的には敷地で生活してもらうが外からでしか手に入らないものもあるので、物などは買うことができる。また下層や敷地内のところでは入居に向けた体験ができることや近所の人との付き合いなど閉じ込められた関係ではなく外の人にも広がっている。

5.設計概要

対象地:架空
高さ:約<130mbr> 建築面積:約10000㎡
住居数:約300軒

(図1)断面イメージ



2003-2022, Space Design Laboratory, JISSEN Univ.
Status: 2021-02-09更新