卒業研究要旨(2022年度)

あきる野市の公園の使われ方

2022年度卒業研究 空間デザイン研究室 齋木美那

1.はじめに

あきる野市は、自然と都市が融和する町として、多くの公園が整備されている。本研究では、生活に身近な自然を提供する公園の役割に注目し、現状の公園の利用のされ方から、その魅力や課題について考察する。

2.調査概要

あきる野市の13公園を対象として、平日・休日各2日、2時間おきに6回ずつ、観察調査を行った。対象は1カ所のみ④大規模公園の運動公園、残り12ヶ所は市立の街区公園である。

3.利用の様子

(1)利用者数

②、④、⑬は利用者数が多く、子どもから高齢者まで利用しており、よく使われている公園である。④は広域から人が訪れ、平日休日ともに圧倒的に利用者が多い。その他の街区公園では公園ごとに利用者数に差がある。多くの公園では、平日よりも休日に多くなり、④は休日が平日の2倍以上の利用者が訪れている。中には平日と休日で大きな差がなく、平日の方が利用者がやや多い公園もあった。

(2)利用者の特徴

利用者層では、④は最も高齢者の利用割合が高く、⑩、⑪、⑫は平日に乳児の利用が多い。大人の割合は平日よりも休日の方が高くなっている。 利用の仕方としては全体的に一人での利用が多く、休日は家族での利用が増える。行為に着目すると、遊びや運動にかなり特化した公園もあるが、休憩や散歩など様々な過ごし方が見られる。平日と休日では、行為の割合に大きな差は見られなく、公園の環境によって過ごしかたはある程度限定されることが窺われる。利用者が少なくても、1人でゆっくりと過ごしている人も見られ、その人にとっては重要な居場所となっている可能性もある。

4.利用の特徴と公園の特徴

よく利用され公園は、広場や原っぱ、丘や山などの凹凸、ベンチや東屋などの設備、遊具など公園の環境にも影響されるが、それ以外に立地によるところが大きい。周辺の人通りの多さ、近くに利用する人の多い施設や店舗があり、駅の近くなどは利用されやすいと言える。住宅街や畑に囲まれた静かな場所は、利用者が限られている。

5.まとめ

よく利用されている公園は公園内の空間の魅力だけでなく、周辺環境や立地が関係している。使われ方では遊ぶ目的が多いが、他に通り道や休憩、本を読むなど様々な利用の仕方がある。公園は遊びの場や交流の場、憩いの場などの役割をしている。しかしほとんどが遊びの場として利用されており、休憩や本を読むなどのんびりしたり、憩いの場となる公園が少ないとことが課題である。

(表1)調査対象の公園
(図1)調査時の利用者のべ人数



2003-2023, Space Design Laboratory, JISSEN Univ.
Status: 2023-02-10更新