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<草稿 翻刻> 

家政学」 下田歌子自筆草稿 大判 191枚 冒頭若干枚欠

   第三章  家事経済
凡そ、是国をして、富饒ならしめんと欲する者は、必ず、先づ是家をして、富
裕ならしめざる可らず。民富めば、則ち国富む国富めば、又、兵強きを欲す
るも、實に、甚だ容易なるべし。而して、戸口の家の富は、必ず、主婦其人の、生
む所にして、其富を生むの手段は、また、一にして足らずと雖ども、要
は、常に、其冗費を省きて、用度を節し、積むべきは積ミて、散ずべきは散じ、
金銭の出納を明確にし、衣食住一切の事を整理し時を惜ミて労を惜ま
ず、己れを約かにして、他に吝かならず。家内の費用を減じて、力を国家公
共の事に尽すに在るなり。
    一  経済の要旨
                                      二十八