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講座・講演会報告

2010年11月27日 公開講座「子どもの安全のためのデザイン」

 11月27日(土)10:00から12:00まで、本館441教室において、生活環境学科企画の「平成22年度実践女子大学・実践女子短期大学 公開講座」が開催されました。槙究本学科主任の開会の挨拶に始まり、西田佳史氏(産業技術総合研究所デジタルヒューマン研究センター)による「子どもの安全のためのデザイン」に関する講演が行われました。西田氏の講演内容の概要は次のとおりです。

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 一歳以上の子どもの死亡原因の第一位は、不慮の事故であり、子どもに配慮したプロダクトデザインが全世界的に注目されています。2008年12月に世界保健機構は、始めて子どもの傷害予防に関するワールドレポートを出しましたが、この中でも製品改善による傷害予防アプローチの重要性が述べられています。子どもの傷害予防に関する考え方や世界の動向を概説された後、現在、産業技術総合研究所で進めている、病院を定点として収集された事故状況や傷害のデータをプロダクトデザインに活用するための次のような技術が紹介されました。

1)病院での傷害データを蓄積し、統計的分析やWEBで検索を可能にする技術、
2)計算機上の仮想的な子どもの身体のモデルを使って、事故状況や傷害を再現することで、病院の傷害データに基づいて対策法を開発するシミュレーション技術、
3)センサ技術を用いて子どもの行動を計測することで、子どもの行動特性を分析する技術、
4)一般の保護者・保育者に対して、身の回りの危険やそれに至る子どもの行動パターンを分かり易く可視化して伝えためのコンピュータグラフィックス技術など。

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 西田佳史氏の講演の後、塚原肇本学科教授(プロダクトデザイナー)、高田典夫本学科教授(建築家)を交えて討論が行われ、研究を継続するためのファンドの問題、意匠性と安全性のバランスの問題などが指摘されました。フロアからも建築家や小児科医などの幅広い分野の専門家が議論に加わり、先端技術を駆使して傷害予防に学際的に取り組む西田氏の提案に賛同する意見が出されました。

(生活環境学科公開講座委員 川上 梅)

ポスターはこちら(pdfファイル)