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古着って流行ってる?
→古着の歴史と流通の変化から考えてみました


このところ若者達を中心に、古着の人気が急激に高まっています。ファッション業界紙の2017年のアンケート*1でも、「よく買い物をする場所」「よく買うブランド」のランキングのそれぞれ第二位が「古着屋」「古着」です。かつて、貧しさの象徴であった古着が、いつ、どのようにおしゃれなモノとしてファッション化したのでしょうか。

転機は、1968年、浜野安宏(1941年―)が東京・青山に開店した『200Days Trip Shop銀』です。この時、浜野は「古着族」という言葉を生み出し、古着はおしゃれな若者達によって着用されるアイテムとなりました。また、1970年に創刊した『an・an』も1974年には「古着の時代」と題する特集ページを組む等、雑誌でも古着がおしゃれなフッションとして紹介されました。

1980年代のバブル経済期には、その人気に多少翳りが見えたものの、1990年代には世界的なグランジファッション*2ブームにより、様々な加工技術を駆使した古着風のファッションが若者達の人気を集めました。近年のエコロジー・ブームの高まり等も、リサイクル品である古着の人気に影響を与えています。

同時に、流通形態の変化も市場に影響を与えています。従来の古着は、個人の目利きのバイヤーが仕入れる「ヴィンテージ」と呼ばれる希少性の高い製品や、全国でチェーン展開を行う老舗の古着店がバルク*3で調達した製品展開でしたが、2013年にリリースされたフリマアプリ『メルカリ』の登場は、C to C(個人間の売買)を実現し、前述のような古着だけではなく、私達がより手軽に自らのワードローブを売買出来る環境を創出しました。

現在、『メルカリ』のダウンロード数は国内では6,000万に及び、全世界では1億を超えています(2017年12月現在)。『メルカリ』での25%の売買はレディース関連商品で、メンズは15%にも及びます。この成功には、①スマートフォンでの操作の手軽さ、②取り扱いジャンルの多様さ、③安心して利用出来るサポート体制が挙げられます。また、C to Cでは、店舗のような商品査定も無く、買い手が「価値がある」と見なせば、市場価格よりも高額での販売も可能です。個人間売買の増加は、従来のBtoC(企業・個人間の取引)の商品調達も影響を与えています。

こういったフリマアプリは、今後AIを駆使した利用の簡便性を更に追求するほか、動画による擬似店舗体験の導入等も始めており、今後も売上げの拡大が予想されています。従来のように古着店で商品を購入する顧客層との多少の重なりはあるものの、実際には、その利用目的によって、両者の住み分けはなされており、今後もますます古着の商取引は加速すると考えます。

*1 センケンjob新卒「【学生アンケートランキング】学生がよく買い物する場所・よく買うお店はここだ!」 (2017年11月6日)URL:https://job.senken.co.jp/shinsotsu/articles/shopping-research
*2 グランジ(grunge)は、「汚い」等の意味の米俗語で、古着やよれよれで色落ちした服の重ね着等が代表 的なスタイルのファッションを指す。
*3 バルク(bulk)とは、「ひとまとめにする」「一括する」という意味で、この場合は、まとめて大量に仕 入れた商品を指す。

古着ビジネスの形成過程と現状(北原美々伊・森下真悠子)より

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