短冊 下田歌子自筆和歌

<宮中奉仕時代>

雨中萩

      露にさへ こゝろおかるゝ秋萩の
はなこき乱し むらさめぞふる 

平尾せき 内議十三等出仕 [明治七年(一八七四)]作

 

  よろこびを 取やもちひのかしきより
 はかりしられぬ 四方の民の戸 

          平尾歌子  和歌並びに淡彩画
[明治七、八年頃(一八七四、七五)]作


 二番目の淡彩画の描かれた和歌短冊は、歌子の署名があり、旧所蔵者の関係から宮中奉仕時代の作と考えられる。このほか絵入短冊六点(本学複写物)が存在する。おそらく年中行事を詠んだ一連の作品と思われる。