源氏物語研究の
学際的・国際的拠点形成

古典の日10周年記念フォーラムin東京2019

寛弘5年(1008年)11月1日の紫式部日記が、源氏物語の存在が確認できる最初の記録です。これを記念して、2012年に「古典の日に関する法律」が制定され、
11月1日が正式に「古典の日」となりました。

2019年、発足10周年を迎えた古典の日推進委員会と創立120周年を迎えた実践女子大学は紫のゆかりに導かれて連携協定を結び
「古典の日10周年記念フォーラムin東京2019」を開催することになりました。

本フォーラムは「五感でたのしむ『源氏物語』」と題し、
雅楽師の東儀秀樹さん、香の老舗松栄堂主人の畑正高さん、
植物染で有名な染司よしおかの吉岡更紗さんが講演しました。

開催日時・場所

【日時】2019年11月19日(火) 13:00~16:05(受付開始12:00)
【場所】実践女子学園中学校高等学校 桃夭館
    
プログラム
「古典の日宣言」
挨拶・祝辞
記念講演:五感でたのしむ『源氏物語』

Ⅰ「源氏物語に寄せて~光の心情~」 
    東儀秀樹(雅楽師)
Ⅱ「王朝の香り」
    畑正高(香老舗 松栄堂 主人)
Ⅲ「千年の色を紡ぐ」
    吉岡更紗(「染司よしおか」六代目)

実施報告

01

東儀秀樹氏(雅楽師)源氏物語に寄せて~光の心情~

源氏物語や平安文学に登場する音楽について、笙(しょう)、篳篥(ひちりき)、龍笛(りゅうてき)の実演を交え、さらに平安時代の貴族男性の装束である「狩衣(かりぎぬ)」を着用し、源氏物語の世界観を想像できるような形での解説を行いました。
それぞれの楽器がどのような表現が可能なのか、また物語の中でどのような場面で使用されているかなどの解説を交えることで、源氏物語と音楽の関わりについてだけでなく、源氏物語そのものに対する理解が深まりました。

講演の最後には、「日本人として日本文化を理解し、誇りを持つことがこれからの国際化社会の中でより重要なものである」と語り、講演を締めくくりました。

02

畑正高氏(香老舗 松栄堂 主人)王朝の香り

「王朝文化と香り」をテーマに、中国から伝来した香が日本文化にどのように浸透していったのか、歴史の流れにも触れながら解説を行いました。
源氏物語のなかでは「にほひ」として香りだけでなく色の表現がされていることなどにも触れ、古典作品の読み方や感じ方を膨らませるようなお話もありました。

源氏物語『梅枝』巻に登場する香である「梅が枝」を会場内で焚き、華やかな香りがただよう中での講演となりました。

03

吉岡更紗氏(「染司よしおか」六代目)千年の色を紡ぐ  

天然の染料で布を染める草木染の伝統について、草木染の工程や、中でも吉岡さんが大事にされている「紫」の表現についての解説を行いました。
源氏物語『玉鬘』に登場する衣配りの場面の紹介を交え、源氏物語に登場する姫君がどのような色の装束を着ていたのか、など視覚で楽しめる講演となりました。

さらに、会場の外では草木染に実際に使用する染料の展示も行っており、講演の前後でもその内容を体感できるものでした。