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2014年度入学式 式辞・祝辞

式 辞

実践女子大学・実践女子大学短期大学部 学長 田島 眞

 桜の季節は過ぎましたが、春のうららの良い季節となりました。本日は、大学院生活科学研究科に6名、生活科学部に431名の新入生をお迎えすることができ、教職員一同喜びに堪えません。

 本学園は、今からおよそ120年前の明治32年西暦でいいますと1899年に、その時代の近代女子教育の先駆者である下田歌子によって創立されました。
 明治の時代といえば、女性の社会的地位が、男性に比べるとはるかに低い時代です。下田歌子は、2年間にわたる欧米の視察に出かけ、そこで目にしたものは、欧米では、女性が男性と肩を並べて活躍しており、また、上流階級の者も、一般大衆も等しく教育を受ける姿でした。これを何とか、日本でも実現できないかということで設立されたのが、帝国婦人協会です。その協会の附属機関として設立されたのが、本学園です。
 実践という名称も、教育が上流階級に留まることなく広くあらゆる層になされるべきとの考えに基づいております。学祖の残したことばの一つに「女性の滑らかな徳性と、豊かな情操をもって社会の弊を正せ」があります。これは、実践女子大学の教育理念「品格高雅」・「自立自営」に生かされています。

 実践女子大学は、本年4月から二校地での教育をスタートいたしました。生活科学部が日野キャンパスで、文学部・人間社会学部・短期大学部が渋谷キャンパスで、教育を行います。
 ここ日野の地では、地域との関係を重視した教育・研究を行います。日野市の初等・中等教育機関との連携、市民活動との連携は、教育に好結果をもたらします。社会と触れ合うことで、学生にはビジネスの感覚が学べます。日野では、このように実学教育に励みます。
 2校地化することによって、いわゆるマンモス大学の弊害が解消されます。学生と教員の距離が近くなります。今でも、学生の面倒見の良い大学として知られていますが、よりパーソナルな教育が可能となります。

 さて、皆さんはこれから大学での勉強をスタートする訳ですが、スタートするに当って、3つのことに注意を払ってください。

 第一は、有名な、だれでも知っている演説の名言ですが、米国第16代大統領リンカーンの言葉です。「人民の人民による人民のための政治」。ご存知ですね。これを教育に置き換えるとこうなります。「学生の学生による学生のための教育」となります。ポイントは「学生による」というところです。高校までは、勉強は上から与えられるものでした。しかし、大学での勉強は、自ら行うものです。現代風の言葉でいえば、アクティブ・ラーニングです。自ら率先して、工夫して、学ぶことが大切です。

 第二は、高校の勉強には正解が必ず一つある、これに対して、大学の勉強では、正解は必ずしも一つでないということです。同じ事柄でも見方を変えれば別の結論が出ます。このように、多方面から物を見るということに心掛けてください。
 また、大学の勉強には、到達目標が無いということもあります。高校までの勉強ですと、例えば、三角函数が理解できれば、数学がAとか、逆上がりができれば体育がAとか学習の到達目標というのが設定されています。大学では、これがありません。自分が納得いくまで、勉強することが求められます。

 第三は、カリキュラムに従って授業を受講するのは当然ですが、余った時間で、ぜひ、書物に親しんでいただきたいことです。ある調査によれば、大学生の4割が1日の読書時間がゼロというものがあります。本学には、誇るべき立派な図書館があります。古今東西、内外の名著に触れてください。そのことが、深い教養となって、これからの人生にきっと役立ちます。生活科学部の理系の学生さんこそ、書物から得るものが多くあります。ほんの一例ですが、すぐにやってくる定期試験の答案作成、レポートの作成、さらに3年後にやってくる就職のためのエントリーシートの作成、そして社会に出てから必要となる様々な書類作成、そういったものに美しい文章を書くことが求められます。それは、付け焼刃では不可能です。多くの書物を読みこなした実力が必要です。いわばコミュニケーション力を付けるために最適な手段なのです。時間を見つけて良い書物に触れることで、確実にコミュニケーション力が向上いたします。
 本学で学ぶことにより、皆さんが大きく成長することを期待しています。教職員一丸となって、その成長の手助けをいたします。

 最後になりましたが、これまで皆さんを育ててくださった保護者の方々と、お忙しい中、ご臨席を賜りましたご来賓の皆様と共に、本日の喜びをわかちあい、式辞とさせていただきます。

※2014年4月11日 実践女子大学生活科学部入学式式辞より

祝辞

学校法人実践女子学園 理事長 井原 徹

 新入生の皆さん、実践女子大学への入学、おめでとうございます。学校法人を代表して、心から歓迎します。
 ご父母の皆様、これまでの長い年月のご苦労に対しまして、深甚なる敬意と祝意を表します。そして、なによりもお嬢様の本大学への入学を、心から歓迎いたします。

 さて、皆さんもご承知のとおり、本年4月から、実践女子学園は、日野・大坂上と、渋谷において、高等教育の2校地展開を開始しました。学園の新たな飛躍を期してのことです。学園は、二つのキャンパスで発展を期していきます。

 実践女子大学への入学にあたって、私から皆さんへの希望を述べて、祝辞に変えます。
 大学院入学の皆さん、大学院では、研究テーマの選定、先人たちの研究実績の学び、自分自身の思索の形成等を経て、修士論文、博士論文に結晶化させて行くわけですが、その一連の研究生活の中では、おそらく試行錯誤の時が多いかと思います。しかし、大学院における研究生活を豊かなものとするためには、どうか自分を見失わずに、勇気と自信を持って着実に、研究を進めて行ってください。

 学部学生の皆さん、皆さんは、これまでは「偏差値」というものが支配する世界で、他人(ひと)より高い点数を取ること、他人(ひと)との成績の比較で優位に立つことを中心に考えざるを得なかったと思います。
 これから始まる学生生活は、自分で自分の将来を決定できるようにするためのものです。
 これまでのような他者比較で優位に立つ競争のための学びではなく、自分の将来を築いていくために学んでください。これまでの勉強とはおのずと異なるということを、深く自覚してほしいと思います。

 そしてまた、これからの人生では、「自分らしさ」を磨き、「自分らしさ」を確立することが大切です。「自分らしさ」を確立するということは、「個人のブランド」を確立することです。個人のブランドを形成して、それによって社会から信頼を得ていくことになるということに、強く思いを至らせてください。

 ただし、「自分のブランド」と言っても、それは自分勝手の独りよがりのものであってはなりません。本学は、「品格高雅」「自立自営」を理念として115年の伝統を築いてきました。本学で学ぶ皆さんのブランドは、品格高雅に裏打ちされたものであることが望まれます。
自由を履き違えて、身勝手で、他人に迷惑をかけるような言動は品格高雅なブランドには成りえません。
「自分のブランド」を形成するために、4年という学生時代を、十分に活用してほしいと思います。

 さて、それでは自分なりのブランドを築くためには、何をどうしたらよいのでしょうか?
 高校時代よりもずっと自由になるこの学生時代に、「先ずは、やってみる」という姿勢が大切です。夢や可能性を追求しながら、兎にも角にも考えて動いてみましょう。そして、様々な体験を蓄積し、吟味し、あるいは、体験から得た様々な価値観を取捨選択して、自分の良さや特徴に収斂させていくことによって、「自分なりのブランド」を築くことができます。

 最後に皆さんに、要望します。
 今日の大学入学式という、大きな節目にあたって、ぜひとも、今後の大学院・学部における、研究・学習計画を含めた「生活設計」を立ててください。
 学生生活全般の、アバウトで良いから、修了・卒業するまでに、どう過ごすかを想定して大筋を心に留めてください。
 今日の続きで漫然と明日を迎える、という無自覚な生き方では、時を無駄にしてしまいます。
 社会人になって分かることですが、仕事や人生がうまく進むかどうかは、「段取り」や「計画性」によるところが大きいものです。
 今日を節目として、ぜひとも将来の生活設計を立ててください。
 そして、品格高雅にして、自立自営する女性となるため、日々精進してください。

 新入生の皆さんの、本学での学生生活が実りあるものとなるよう心から祈り、祝辞とします。

※2014年4月11日 実践女子大学生活科学部入学式祝辞より