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2016年度卒業式 式辞・祝辞

式 辞

実践女子大学・実践女子大学短期大学部 学長 田島 眞

 今年は暖冬といわれましたが、長かった冬も終わり、春本番を迎えようとしています。校庭の桜も、そのつぼみを膨らませ始めており、おだやかな卒業式を迎えることができました。
改めて、卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
 ご臨席のご父母の皆様も、この日を、共にお祝いしたいと思います。

 本日、生活科学部卒業生416名に卒業証書をお渡しいたしました。
食生活科学科健康栄養専攻では、初めての卒業生51名を送り出すことができました。
 この卒業証書は、皆さんの勉学の証であるとともに、実践女子大学卒業生として、品格高雅、自立自営の教育を受けた証でもあります。胸を張って社会に出て活躍することを期待しております。

 4年前、入学式において入学許可をしたのも私です。入学式での式辞を覚えていますか。一番、強調したのは、良い書物に触れてください、でした。4年間いかがでしたか。多分、良い書物に触れていたものと確信しています。繰り返しますが、良い本を読むことは、仕事に必要な文章を書く力を確実につけます。ビジネスで成功を望むなら、文章力が強く求められます。そのためには、良い本を読むことが必要なのです。

 さて、昨年、私、理科系の人間には、うれしいニュースがありました。それは、3年続けて日本人がノーベル賞を受賞したことです。とくに、今年度ノーベル生理学・医学賞に、細胞のオートファジーを研究した大隅博士が選ばれたことです。
 ノーベル賞を受賞した先生方のインタビュー記事を拝見しますと、全員、口をそろえて、夢を追い続けたことが、受賞につながったとおっしゃっています。若い頃に、夢を高くかかげ、その実現にまい進したのです。

 このように、高い目標を掲げ、その実現に向けて行動することを、新しい言葉で、「バックキャスティング」といいます。ビジネスで、新しい商品を開発するときに使われる手法の一つです。その典型例が、みなさんお馴染みのアップル社のタブレット端末です。あのタブレットは、数年前に発売されましたが、実は、その発想は30年前に始まっていたとのことです。皆さんが生まれるよりずっと前ですね。アップル社を創業したスティーブ・ジョブズ氏が、30年前に現在のパソコンの原型のアップルⅡを世に出した時に、将来のパソコンは、こんなものではない、手のひらサイズで、世界中の情報がたちどころに手に入るものになるのだと、夢見たのです。もちろん、インターネットが誕生したのは、最初のパソコン、アップルⅡが誕生してから15年後のことです。
 その何も技術的裏付けが無いままに、ただ、こんなものがあったら良いなと夢を持ち、その夢を実現するには、どういった技術を開発していかなければいけないかと、研究を進めたのです。そして、30年後に夢は実現いたしました。
 最初に夢を持つこと、技術の開発はそれを追いかけること、これが、「バックキャスティング」という手法です。

 卒業生の皆さんもぜひ、この手法を人生に取り入れていただきたいのです。まず、30年後の夢をみてください。その夢を実現するには、今、何をすべきかを考えましょう。日々、努力をすることも必要ですが、まず、30年後の夢を見ることから始めましょう。
 夢は、ただ見るだけでは駄目です。夢の実現に向けて行動することが重要です。夢は見るものでなく、造るものだということをモットーにしてください。

 平成26年4月より文学部と人間社会学部は、渋谷キャンパスに移転いたしました。生活科学部の日野キャンパスも第3館の新築をはじめリニューアルいたしました。キャンパスは変わっても、実践の教育・研究には何ら変わりはありません。いえ、これを契機に一層の発展を遂げると確信しております。卒業後に、実践を再び訪れ、その変革を目にしていただければ幸いです。いつでも皆さんを歓迎いたします。

 改めて、ご卒業おめでとうございます。
お忙しい中、ご出席をいただきました、多数のご来賓と共に、お慶び申し上げ、式辞といたします。

※2017年3月20日 実践女子大学生活科学部卒業式式辞より

祝辞

学校法人実践女子学園 理事長 井原 徹

 卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。
ご父母の皆様、お嬢様の大学卒業までの長い年月のご苦労に対しまして、心からの敬意と祝意を表します。

 卒業式にあたり、日頃考えているところを述べて、祝辞とします。
主題は「能はざるに非ざるなり(あたわざるにあらざるなり)」です。
 これは吉田松陰の26歳のときの言葉であり、孟子の言葉でもあります。意味は「できないのではない、やらないのである。」 ということです。

 昔、ある講演会で講師が聴衆に、「皆さんはこれまでに「夢」 を持ったことがありますか? 」 と語りかけました。そして、「その夢はいま、叶っていますか。叶っていませんか。」と聞いたところ、聴衆は全員がかつて夢は持っていたが「叶っていない」と回答しました。
 次に講師は『その夢は「叶えられなかった」のですか、「叶えなかった」のですか』と聞くと、聴衆のほとんど全員が「叶えられなかった」と回答しました。

 講師は続けます。あなたは先ほどかつて夢を持っていたが、その夢は「叶えられなかった」と言いました。本当にそうでしょうか?誰かのせい、何かのせいで叶わなかったのでしょうか? 本当はあなたが「夢を叶えなかった」のではないですか? 本気になって夢を叶えようと努力しなかったのではないですか。そして、もしもこれから先に夢を持った場合、かつてのようにその夢も「叶えられなかった」と言うのですか、と聞いたのです。

 「夢は叶えられないから夢と言う」、などと言われます。「夢追い人」という言葉もあります。しかし、私はこの講演会ではっきり思いました。人生において、ただ漫然と時聞をつぶすだけの人生よりも、仮に叶わない夢かもしれないが、夢を追い続ける人生の方が、よほど面白そうだと。

 だいぶ前になりますが、NHK大河ドラマに「花燃ゆ」という番組がありました。そこに吉田松陰が登場したので、昔買って読んだ「吉田松陰名語録」を改めて引っ張り出して読んでみました。
 そして、松陰の「能はざるに非ざるなり」という言葉とこの「夢追いの講演」とが一挙に結びついたのです。
 「できないのではない、やらないのである。」ということなのです。夢は叶わなかったのではなく、叶えなかったのです。

 さあ、卒業生の皆さん、卒業して社会人になるにあたって、もう一度、自分の将来に夢を持とうではありませんか。勤めた会社や団体での仕事上の目標や夢以外にも、何でも良いから、自分の夢を持とうではありませんか。あなた自身のカで、あなた自身の努力の汗と涙で夢を叶え、夢や目標を達成するようにしたら良いではないですか。
 夢を持ち、夢を叶えるための人生は前向きで、清々しいと思います。

 今の社会は、価値観の多様化が進み、また、国際的にも不安定な社会になっています。このような厳しい環境下で、皆さんは社会人として歩みをスタートさせなければなりません。
 社会では辛い事、悲しいことが一杯待ち受けているかもしれません。だからこそ、夢を描いてほしいのです。だからこそ、卒業を機に、自分の生き方の基本を、じっくり考えてほしいと思うのです。

 これまでは、学校制度という枠組みの中で、小学校、中学校、高等学校、大学と、学校の種類によって、人生の節目が与えられてきました。「卒業する」という目標が与えられ、学校を卒業するたびに、節目が自然に作られてきました。
 しかし、これからは、自分で節目を作らないと、皆さんに残された平均60年聞は、変化の無い一つだけの節になってしまいます。

 自分がその気にならなければ、節は作れません。豊かで実りある人生にするためには、先ず夢や目標を持ち、それを達成させるための節、即ち成し遂げたいことを決めて、それを現実のものにするために、そのための期間や達成水準を、明確に打ち立てることによって節を作り、その実現に向けて努力を積み重ねていくという生き方が望まれます。
 しっかりとした節が多いほど、人生と言う竹は強靭になります。節を作ることは、夢を叶えさせるための強力な達成方法なのです。

 ただ、世の中は厳しいので、そういう前向きな自分を創り上げて努力しでも、いつも上手くいくとは限りません。しかし、それも良いではありませんか。

 夢も目標も持たず、ただ流れに流される人生を送るよりも、あなた方には『努力した』「頑張った」 という事実と、苦労したという実績が残ります。
それは、あなた方のその後の人生に、確実に肥やしとなり、豊かな果実をもたらします。どうか、失敗を恐れずひたむきに、そしてしぶとく生きて行ってください。

 最後になりましたが、ご父母の皆様には、これまで後援会活動を中心として、様々なご支援とご協力を賜ってまいりました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。お嬢様のこれからの歩みが、豊かで実りあるものとなるよう、心からお祈り申し上げます。

 それでは、全ての卒業生、修了生の皆さん、自分を信じて、明日に向けての新たな一歩を、大きく踏み出してください。
「能はざるに非ざるなり」 をいつも自覚しながら、自分の人生を切り開いていってください。そして、何よりもこの大学をいつまでも忘れないでください。
 皆さんの卒業・修了を心からお祝いして、祝辞とします。

※2017年3月20日 実践女子大学生活科学部卒業式祝辞より