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美学美術史学科とは

学科の特徴

美の魅力を追求しながら自分の眼で見て考える力を身につけます

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美学美術史学科では、美や美術作品について研究します。
対象は、日本、中国、西洋など幅広い地域と時代におよび、絵画、彫刻を中心に、デザイン、映像メディアまで多彩です。本物の美術作品に触れることはもちろん、教職関連実技科目では創作を学ぶこともできます。古今東西の美術作品に親しみ、一人ひとりが多様な価値観に親しむこと、美術について言葉で表現し、伝える力を養うことをねらいとしています。

美学美術史学科の学びについて

 2015年、美学美術史学科は、創設30周年を迎えました。実践女子学園の120周年には遠く及ばないものの、それは大学を取り巻く環境を変化させるに十分な歳月でした。創設当時、1980年代半ばの日本は、今思えばいわゆる「バブル」の直前で、それまでの経済成長を経て、人々の思いが文化や芸術に向かい、美術について学ぶことの意義が、自然に受け入れられた時代だったと考えられます。そのあとに起こったバブル経済とその破綻、さらにリーマンショックを経て、現在では、大学教育において就職に直結する資格や実学的なものを重要視する風潮が広がり、人文系の学問の意義が見失われ、軽視される傾向にあります。ただ、資格に関して言えば、本学科も、美術館学芸員という資格を得るための博物館学課程を前身とし、もともと社会や職業から隔絶したものではありませんでした。実際、多くの卒業生が学芸員や美術に係わる場で活躍しています。また、10年前には美術科教員資格が取得できるよう改革も行いました。その第一期の卒業生以来毎年のように、中学や高校の美術科教員を社会に送り出しています。しかし、学芸員や美術科教員としての就職は、卒業生全体から見ればほんの一部に過ぎません。現在、大学へ求められているのは、大多数の学生たちが、一般企業などにきちっと就職し、社会人として生きていくために積極的に後押しする取り組みです。
 一方、美術史という学問も、実はこの30年間に変化しています。かつての美術史は、芸術家たちの創造性について解き明かすことに主眼が置かれていましたが、現在では、作品も時代の産物であって、作品を生み出した社会や政治とのかかわり、作品を作らせた人々やそれを鑑賞し求めた人々の世界観を知ること抜きに、芸術作品を語ることはできないという見方が定着しました。このような視点によって、美術を通じてそれを求め支えた人々の世界観や思いを洞察することは、現代社会の様々な事象の背景にある本質的なものを見極め、不透明で複雑な現代社会を生きていく上でも、有効な能力になるに違いありません。また、学科の演習での取り組みや卒業論文執筆を通じて、自ら問題を発見し考察し、プレゼンテーションや文章によって他者に分かりやすく伝える力を身につけることも、社会的な要請と合致しています。
 このように、学科ですでに行われている教育は、現代社会においても価値を持ち続けるものですが、それをより確実に効率的に、学生さんたちに身に着けてもらうためにはどうしたらよいか、工夫や方法を検討し改善していくことが、現在、すべての大学の教育現場に要請されています。これまでも、美学美術史学科での学びを通じて、学生たちは美術への愛を深め、美術をより深く楽しむという一生ものの力を身につけて卒業していきました。比較的おっとりして、自己主張があまり得意とはいえない本学科の学生さんたちに、大学で身につけた能力を自覚してもらい、それを核にして自信をもって社会で活躍していってもらえるように、学科としてどのような取り組みが必要なのか、学生さんたちの意見も反映しながら、次の十年数十年の美学美術史学科に向け、新たな歩みを進めていきたいと思います。

(2016年~ 学科主任 宮崎法子、2016年『実践女子大学同窓会誌 97』より一部改訂の上転載)

感性豊かな人間を目指して

 わたしたちの生活の中にはさまざまな「感性」に訴えるものがあります。たとえば大自然の風景に心を奪われ、あるいは美術館に展示されているさまざまな作品に魅了されることでしょう。さらには、劇場や音楽堂へ足をはこび心から感動することもあるでしょう。そればかりか、美味しい食事に幸福な気持ちになり、漫画やアニメといったサブカルチャーに没頭することも「感性」に関わっています。
 そういった「感性」に関わることを、言葉で説明しようとするとき、わたしたちは「ことば」に困ることがあります。それらを「美しい」「きれい」「面白い」「かわいい」「素晴らしい」「悲しい」「楽しい」「醜い」とさまざまな「ことば」を発しても、その理由を説明するのは難しいからです。そもそも「ことば」などいらない、ただ感じるだけで十分なのではと思うこともあります。そして、美学美術史学科で学ぶ多くのテーマは、そういった性質のものなのです。
 しかし、ただ感じるだけで十分では学問になりません。学問とは「ことば」を用いて、多くの人と意見を共有し、そこに客観性を求めます。ただ主観的に感じているだけでなく、そこには事実や真理が必要であり、それらを導くためには特別なトレーニングが必要です。
 美学美術史学科では、授業で美術作品の画像をたくさん見ます。また、積極的にさまざまな美術館に見学に出かけ、本物の作品にもふれます。そして、自分が見て感じたことを、自らの「ことば」で記述し語るトレーニングをします。そういったトレーニングは、卒業論文という大きな成果に実をむすぶことになるでしょう。このとき、きっとあなたの「感性」は豊かなものとなり、客観的に語る「ことば」で、さまざまな人とコミュニケーションをとることが可能になるでしょう。

(2014年~2015年 学科主任 椎原伸博)