槙 究 色彩研究紹介

 

色と素材と照明の交互作用

どんな素材と組み合わせても、いい色はいい色なのか?

 色紙で評定させて、いい色を探す。それがうまくいったとしても、それを色紙以外の素材と組み合わせていいのだろうか。

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 壁紙の素材をいろいろ変えて、色もいろいろ変えて、照明パターンも4つに変えて、さまざまなインテリのパターンを作り、印象評価させた。その結果を数量化Ⅲ類という手法で分析すると、素材ごとに印象評価に及ぼす色の効果が異なることがあることがわかった。

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落ち着きの結果。
0より大きいと評価を上げる効果、小さいと評価を下げる効果があることを表している。
素材によって印象評価に及ぼす影響が異なると、同じ軸上の4つの点がばらつく。
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 さて、このような色の効果のばらつきが見られた印象と、ちょっと見られた印象と、ほとんど見られない印象があった。それぞれ「落ち着き」、「美しさ」、「暖かさ」となる。

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 つまり、暖かさの予測では色の効果は照明条件や素材によって変化しないので、色紙で計測したものをそのまま用いることができる可能性があるが、美しさでは時に気をつけなければならないし、落ち着きの予測には役に立たないと、そういうことになる。

※紹介した研究の詳細は....槙 究、澤 知江:室内の雰囲気評価に及ぼす色彩・照明・素材の複合効果、日本建築学会計画系論文集、No.516、pp.15-22、1999.2 参照LinkIconPDF