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生活環境を知るための文献

私が薦める二冊の本

三浦展
吉祥寺スタイル ―楽しい街の50の秘密
文藝春秋、2007

博報堂生活総合研究所
タウン・ウォッチング ―時代の「空気」を街から読む
PHP研究所、1990

Background

 「ひと」に興味はあるけれど、ずけずけと人の生活に入り込むことはためらわれるシャイな人物にとって、特別に声を掛けずとも人の生活を垣間見ることができる「街・街路」は興味ある観察対象だ。

Kichijoji

 「住んでみたい街」best3に必ずランクインする街、吉祥寺。ターミナルに駅ビル・ロータリーという風景に嫌気がさしている先生方には、こういう平面的な拡がりのある街を支持する人は多い。確かに、単なるショッピングとか映画鑑賞とかいう機能以外に「街を楽しむ」という要素がちりばめられている気がする。

タウン・ウォッチング

 これはもう四半世紀も前に出た本であり、すでに古本以外では手に入らない。バブルの絶頂期に、駅から数百メートル離れた場所に最先端の店が分布するといった状況がなぜ起こるのかといったことを説明している。
 さて、ポンプアップショップというのは、デパートのような人々の目的地となり得る大規模施設。駅からポンプアップショップに向かう途中の道は、宣伝せずとも人が通る。そこに無数の小規模店があったら「ちょっと覗いてみよう」となるかもしれない。そんな店が集まっているのがスポンジゾーン。人を吸い込んでいく有様の違いを2つの言葉で表現している。
 そう、吉祥寺なら「東急」がポンプアップショップ、「ハモニカ横町」がスポンジゾーンだ。

吉祥寺スタイル

 最近になって、この本を手に取った。タウン・ウォッチングは博報堂生活総合研究所、吉祥寺スタイルはパルコの情報誌編集長であった三浦展氏と筑波大の渡研の合作だ。言葉の使い方がキャッチーなのは、業界の常なのだろう。「エコ路地カルタウン」、「ショー店街」などという言葉が踊っている。
 その中から「スケルタウン」という言葉を紹介しよう。骨格(skeleton)がしっかりしていて、中身はフレキシブルに入れ替わるという意味と、店の中が見渡せる「透けるタウン」を引っかけた言葉だ。吉祥寺の魅力の一側面をうまく言い表していると思う。

 今度、ぶらーっと出掛けてみようか。家からサイクリングでも30分かからないことだし。(K. M.)