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生活環境を知るための文献

私が薦める一冊の本

平石賢二
思春期・青年期のこころ〜かかわりの中での発達(改訂版)
北樹出版、2011

 “心や行動を科学する”心理学は、特に若い女性には人気がある。しかし、一言で心理学といっても、いろいろな分野がある。社会心理学、認知心理学、発達心理学など、聞いたことがある人もいると思う。

 アパレル分野の心理学としては、北大路書房から出版されている『シリーズ 21世紀の社会心理学』の中の「8.被服行動の社会心理学-装う人間のこころと行動」、「9.化粧行動の社会心理学-化粧する人間のこころと行動-」などが、よく参考にされる図書である。他にも、このシリーズの「1.対人行動の社会心理学-人と人との間のこころと行動-」、「7.消費行動の社会心理学-消費する人間のこころと行動-」、「11.環境行動の社会心理学-環境に向き合う人間のこころと行動-」、「13.自己と対人関係の社会心理学-『わたし』を巡るこころと行動-」などもいつか読んで頂きたいと思う図書であるが、これらへの入門書として、まずは本書を推薦する。

 最近、高校生の化粧に関する研究を行った際に、対人心理学、化粧心理学、さらに教育心理学、青年心理学という関連分野の文献を読むことになった。私は修士論文と博士論文の一部で、加齢とともに体型がどう変化するかを明らかにしたが、加齢と共に変化するのは身体だけでない。心も変化するのである。加齢に伴う心の変化に関して、発達段階に応じて幼児心理学、児童心理学、青年心理学、老年心理学という研究分野が展開されている。そして、“ファッション行動に影響を与える高校生の心”を測るために、平石賢二氏が作成し、本書にも自己肯定意識尺度として掲載されている“青年期の心を測るものさし”を使用した。

 本書は、青年期の心理について長年研究してきた同氏が編著者となり、思春期・青年期(小学校高学年から中学生、高校生、大学生)の心の発達段階について、その理論的特徴と実践例をわかり易くまとめた本である。高校生や大学生の皆さんにとっては、今の自分の心の発達段階を客観的に知ることで救われることがあるかも知れない。  (U.K.)