実践女子大学×いなげや 「Jミッション」で“女子ウケ最強弁当”の開発にチャレンジ!(9/10)
低学年向けキャリア支援を強化すべく、2019年度より実施している企業や自治体との産学連携プログラム「Jミッション」。その取り組みの一つが、首都圏でスーパーマーケットチェーンを展開する株式会社いなげや(以下、いなげや)との特別企画、題して「女子ウケ最強弁当を開発せよ」です。採用された弁当は来年2月以降 、いなげや約130店舗で販売される可能性があり、いなげやの社員8人を迎えた最終プレゼンテーションが、9月10日(水)に日野キャンパスで行われました。
実践女子大学×いなげや 「Jミッション」
いなげや130店舗での販売を目指す“女子ウケ最強弁当”
“女子ウケ最強弁当”の開発
「Jミッション」の取り組みの一つとして、いなげやで販売する新たな弁当の開発に挑むこととなった学生たち。日頃から食について学ぶ食生活科学科だけではなく、日野キャンパスの現代生活学科や普段は渋谷キャンパスで学ぶ人間社会学部生も含め、総勢20人の1・2年生が参加。5つのグループに分かれてディスカッションや市場調査、工場見学、企業研究を行い、オリジナル弁当の考案に取り組みました。
9月3日(水)には中間発表を実施。5チームはそれぞれ、いなげやの社員の皆さんから貴重なフィードバックを受けました。また、この中間発表では、食生活科学科の佐々木 渓円教授の協力のもと、研究室の装置(「視線解析装置」)を用いた分析に挑戦。それぞれのチームが考案した弁当の写真を見たときの眼球の動きをセンサーで検出し、視線の位置や停留時間、移動順序といったデータを収集。弁当の具材の配置や彩りなどの改善点を明らかにし、最終発表に向けたブラッシュアップのヒントにしました。
女子大学生ならではの感性が光る、魅力的なアイデアが勢ぞろい!
中間発表から1週間後の最終発表当日。各チームは内容をブラッシュアップさせた、5種類の“女子ウケ最強弁当”を提案しました。それぞれの弁当の特徴といなげやの社員の皆さんによる講評は、次のとおりです。実際に販売される商品があるかもしれません。乞うご期待!
- なつかしの給食弁当
なつかしの給食弁当
多くの人の心に残る食の原風景である給食がコンセプト。栄養バランスと懐かしさを重視し、ワンコイン価格を目指す。わかめご飯や春雨サラダ、ハンバーグ、ABCスープなど人気の給食メニューで内容を構成。給食の献立表をイメージしたポスターやポップなどの販促アイデア、牛乳をセットで購入する際の割引施策も併せて提案。
講評
「給食」をコンセプトに掲げた理由や、この企画を実現したいという意欲が伝わってくる発表だった。各種ランキングの情報を参考にしながらメニューを決め、栄養素もしっかり説明している点にも説得力があった。販促プロモーションや、牛乳のセット割の提案にまで及んでいる点も興味深い。コーヒー牛乳との組み合わせも面白そう。
- マニマニ弁当
マニマニ弁当
お腹も心も満たす、20代・30代女性をターゲットにした韓国料理の弁当。スープで体を温める要素と、高い栄養価の両立を狙う。スープは、豆腐のスンドゥブ、アサリのスンドゥブ、わかめスープの中からチョイスできる仕様。ほか、キンパやヤンニョムチキンなど人気の韓国メニューが並ぶ。「マニマニ」は韓国語で「たくさん」の意。
講評
若い女性のトレンドを押さえていると感じた。スープを3種類から選べる設計にし、辛いものが苦手な人に配慮している点も良い。中間発表時よりも価格設定が抑えられ、細かく原価計算されていた点も評価したい。「おにぎり○個分」と内容量を分かりやすく説明する工夫もすばらしく、「マニマニ弁当」というネーミングもかわいい。
- パリッと!じゅわっと!味変できる油淋鶏弁当
味変できる油淋鶏弁当
じゅわっとした唐揚げとパリパリの揚げワンタンの食感のコントラストや、味変が特徴的な弁当を考案。いなげやで人気の唐揚げ(味付けなし)に、自分好みの味に変えられるソース(3種類)を別添する。視線解析装置の分析で、瞬時に彩りが認識されているという結果が得られたことから、カラフルな温野菜で見た目の華やかさも演出。
講評
味の変化、多様な食感、鮮やかな見た目など、ワクワク感が詰まった弁当に仕上がっている。中間発表時のフィードバックを踏まえ、野菜を温野菜に変更することで、電子レンジでの温めにも対応している点も良い。別添えのソースで油淋鶏を自分好みにカスタマイズできるのも面白く、店頭に華やかさを演出してくれる弁当だと感じた。
- 小籠包入り本格麻辣湯弁当
本格麻辣湯弁当
トレンド性と健康志向を重視し、昨今若い女性に大人気の麻辣湯を弁当にすることで野菜不足にアプローチする。具材は、チンゲンサイ、キクラゲ、人参、豆腐、ニラ、ネギ、レンコン、ゆで卵。いなげやオリジナル小籠包もプラスし、いなげやブランドも訴求。米問題(価格高騰)への対応として、麺類を採用している点も特徴。
講評
中間発表に比べて、麻辣湯を選んだ理由が明確になり、価格設定も現実的になった。いなげやの小籠包を具材に加え、いなげやブランドのアピールにつなげようというアイデアもうれしい。付属のタレで好みの味付けにできる点や、冷蔵販売でフードロスを減らそうとする試み、米の価格高騰を考慮して麺を採用した点もポイントが高い。
- パリパリチキンとサラダラップ弁当
パリパリチキンとサラダラップ弁当
健康を意識した食事と満足感、見た目の華やかさを重視した丼タイプの弁当。不足しがちな野菜は、サラダラップにして食べやすさと彩りをアップ。当初は鶏のささみ肉にコーンフレークをトッピングする想定だったが、試作を行った結果、よく焼いた鶏胸肉の皮でパリパリ感を出す方向に変更した。夏向けの塩レモン味バージョンも提案。
講評
価格を抑えようとする努力が感じられた。炭水化物が多いという意見を踏まえ、白米を減らして肉の分量を増やしたのも良い。一般的に好まれる味付けを分析し、複合的な味付けをめざしている点も面白く、プレゼンテーションも上手だった。試作して改善点を見いだそうとする姿勢や、夏場の販売を見据えたバリエーションの提案も素晴らしかった。
学生からいなげやの皆さんへの質疑応答の時間も
佐藤部長から最後に講評
チームごとの発表と講評の後には、質疑応答の時間も設けられました。
学生からは「1日の野菜の摂取量を意識し、どのような目標を掲げているか?」「商品開発をする際に重視していることは?」「商品をリニューアルするタイミングは?」「どのように新商品のテーマを決めているのか?」「チームで商品開発を行う際に大切にしていることは?」「食に関わる仕事を求める学生に対し、どのような資質を求めているか?」など、具体的な業務内容から採用に関わるものまで多岐にわたる質問が飛び交い、いなげやの皆さんにはいずれも丁寧にご回答いただきました。
最後、いなげや 商品戦略本部 惣菜・ベーカリー部の佐藤兼太朗部長は、「Jミッションが始まった当初は皆さんの緊張が伝わってきたが、最終日の発表では自信に満ちあふれている様子で感動した。人前で話すことも、そのための資料を作成することも大変だったと思うが、すべて皆さんが社会人になったときに役に立つはず。私たちとしては、皆さんからいただいた素晴らしいアイデアを一つでも多く商品として店頭に並べられるよう努力したい。当社の商品開発担当メンバーが、皆さんのアイデアをもとにどのような新商品を創り出してくれるのか楽しみにしている」と話し、この日の発表会を締めくくりました。
なお、終了後の学生のアンケートでは、「普段は食とは関係ない分野を学んでいるが、企画そのものに興味があって参加した。有意義な経験ができて良かった」「企画開発やプレゼンの力を身につけられた」「それぞれのチームの発表がユニークで、勉強になった」「自分の将来の夢に近い体験ができて感激した」「やりたいことをすべてやりきれなかった。スケジューリング能力を高める重要性を学んだ」など、「Jミッション」の目的に沿ったコメントが多く寄せられました。
参加学生のコメント
食生活科学科2年生の三沢さんと竹内さん
全員でディスカッションし、互いの興味関心を引き出しながら韓国料理のお弁当というコンセプトにたどり着きました。学部・学年、参加の目的も異なるメンバーで同じ方向を向くのは容易ではなく、個人的には価格を一定以下に抑えるための原価計算や調整に苦労しました。中間発表での指摘を踏まえ、最終発表に向けて内容を修正する作業にも苦心しました。
それでも、この困難があったからこそコミュニケーションの大切さを実践的に学べたと思います。今後、初対面の人や異なる意見を持つ人と協働する際に、この学びを生かしたいです。
(生活科学部食生活科学科食物科学専攻2年 三沢花帆さん)
普段、学友会執行委員会で委員長として活動しており、このミッションでもチームのリーダー役を務めさせてもらいました。正課外のプログラムのため個々の熱量に差があり、グループ全体のモチベーションを高めるのに苦労しましたが、特定のメンバーに偏らず全員の意見を取り入れることを心掛けました。その結果、メンバー間の信頼関係が深まり、中間発表から最終発表までの提案のブラッシュアップは予想以上にスムーズでした。
将来は食に関する仕事に就きたいと考えており、今回の経験も就活時のガクチカ(学生時代に力を入れたこと)に加えたいと考えています。
(生活科学部食生活科学科食物科学専攻2年 竹内花音さん)
いなげや 商品戦略本部 惣菜・ベーカリー部 浅田香織氏のコメント
学生の皆さんのグループワークを新商品開発につなげる試みは、当社にとって初めての経験です。初回から進行役として参加してきましたが、食への興味と熱意をもって取り組んでくださる学生さんばかりで、授業で培った専門知識を生かしたアイデアにこちらも多くを学びました。
商品開発の現場では、つい「現実的ではない」と制約にとらわれてしまいがちですが、学生の皆さんの自由でのびのびとした発想に、心から感銘を受けました。味変の需要や韓国料理への関心など、女子大学生ならではの「生の声」を聞けたのも新鮮でした。
中間発表から最終発表まで1週間しかない中、フィードバックを真摯に受け止めて改善に取り組んでくださった努力にも敬意を表します。結果的に、どのチームも素晴らしい発表になっていました。
どのアイデアを商品化するかはまだ決まっていませんが、皆さんの貴重な発想を形にすべく検討を進めます。来年2月以降の商品化を目指し、食材の選定や味付けの調整など本格的なレシピ開発に取り組んでまいりますので、どうぞご期待ください。







