学長メッセージ
社会を変革し未来を切り開いていく女性の育成を目指す
— 実践女子 —

実践女子大学・実践女子大学短期大学部は、学祖下田歌子先生が「女性が社会を変える、世界を変える」という強い信念の下「品格高雅にして自立自営しうる女性の育成」を目指して1899年に設立した実践女学校、女子工芸学校を前身とし、2019年5月に創立120周年を迎えました。この建学の精神と教育理念は脈々と受け継がれており、本学はこれまで数多くの人材を幅広い分野に送り出してきています。
現在の社会を地球規模でみると、人口問題や地球温暖化などの環境問題、経済や社会、活動圏のグローバル化に伴う諸問題など、課題が山積しています。また、日本では少子高齢化に伴う課題があります。これらは物質的豊かさの追求、そのための効率化などの副産物としての面が多々あります。これらの問題を乗り越え明るい未来を切り開くためには、従来の男性中心の視点ではなく女性の新たな視点と切り口が必要と考えられます。特に女性の社会進出が遅れている日本では、男女が同等に働き、意思決定し、社会に貢献する男女共同参画社会の実現が必須です。
次に、社会の変遷を技術革新の面からみると、18世紀英国で始まった蒸気機関の登場による第一次産業革命、軽工業から重工業への第二次産業革命、コンピュータの登場による第三次産業革命へとつながり、それに沿った人材が社会から求められてきました。今始まりつつある第四次産業革命はICT、IoT、AIなどによって、従来人が行ってきた単純作業の省力化や肉体労働のロボットによる代替、事務処理の自動化などが進み、社会が必要とし期待する能力は今までとは違うものになります。
今後の社会で求められる能力とは決められたことをこなす、協調性があるというような従来の能力だけではなく、自分で社会の問題点を見つけ出し、目標を設定し、価値判断ができる、創造力がある、対人コミュニケーション力があるなどAIなどでは代替できない能力です。いわゆる自ら考え行動する能力を持ち社会を変革していく“実践力”のある人間です。
このような人材を本学で育成するために、教育の面からは、従来からの知識伝達型の教育に加え、論理的思考の基礎となる基礎学力の向上と広範囲な分野での教養及び数理的思考力(データ分析・活用能力)を養う教育を充実することが必要です。また、学生が主体的に行動し課題を発見し幅広い視点で自らの考えを発信していく力を養う必要があります。そのために、社会との接点を増やし産学官連携や社会・地域連携、グローバル化に対応した教育・研究環境を整えていきます。
今般の新型コロナウイルス感染症の拡大によりキャンパス閉鎖を余儀なくされ、今年度の新学期の多くの科目を遠隔授業(オンライン授業)でスタートしました。オンライン授業は教員と学生の直接の対面がない、グループワークが難しいなどのデメリットがありますが、一方では、時間と場所に縛られない、質疑がいつでも可能、ICT能力が大きくアップする、自主的・自律的学習能力が向上する等の数多くのメリットがあります。IT化が進む現代社会において将来を先取りした挑戦と考え、オンライン授業と対面授業を組み合わせた、より優れた未来型の教育システムを構築していきたいと考えています。
教職員が一丸となって、意義ある学びの時間と充実した学生生活を提供していきます。学生の皆さんには「自分はどんな未来を手にしたいか」をいつも考えながら本学の充実した環境を活用し、アグレッシブにチャレンジし成長していただきたいと願っています。