2025年度卒業式 式辞・祝辞
式辞
実践女子大学
学長 難波 雅紀
うららかな春の日ざしに霞がたなびく季節となりました。ほほを伝わる風も和らぐ今日、卒業式を迎えることができました。修了生および卒業生の皆さん、修了、卒業おめでとうございます。お祝いを申し上げます。また、ご列席を賜わりました関係者の皆様にも、心から祝意を申し上げたいと存じます。
さて、世界では、現在、グローバル化が進む中、国々が相互に影響し、依存する度合いが急速に高まっています。貧困や紛争、難民、人権の抑圧、環境破壊など、国際社会全体に係わるものとして協力して取り組むべき課題も山積しています。
本日、修了、卒業を迎えた皆さんは、こうした社会状況が急速に変化する中で、学生生活全般にわたり、今までとまるで異なる経験をしてきました。その厳しい環境において、皆さんは、以前と違ったものの見方をしていると感じたことはなかったでしょうか。自分にとって本当に意味のあるものは何かを、見つめ直すことがなかったでしょうか。自分と向き合うことによって皆さんは、新たな価値を発見したかも知れません。
20世紀アメリカの詩人ミュリエル・ストロードは、新時代を生きる人々に向けて、「敷かれた道を進むより、道なきところに自ら道を築いて進め」と書いています。この言葉は、新たな視点から諸課題に果敢に取り組み、豊かな未来社会を創造していく、21世紀の私たちへの励ましと受け取ることもできます。
学祖下田歌子は、「女性が社会を変える、世界を変える」という信念に基づいて本学を設立しました。私は、皆さんがこの建学の精神を受け継ぐとともに、本学で培った実践力と、経験をとおして得た新しいものの見方によって、未来のために自ら社会や世界をより良くしようと行動することを期待します。
さて、皆さんは、これからもたくさんの人と出会い、様々な経験を積んでいくことになりますが、出会いや経験の数だけ、味わう喜怒哀楽も多くなっていきます。誰かと喜びを一緒に分かち合いたい、誰かに悩みを分かって欲しいと思うことも多々あるに違いありません。そんな時、友だちであれ、家族であれ、心を開いて話を聞いてくれる他者の存在ほど大切なものはありません。そして、同じように他者である友だちや家族が皆さんに喜びや悩みを打ち明けるのも、皆さんが心を開き、それらを理解し、共感しようとするからです。皆さんもまた、他者にとっての大切な存在なのです。
人が他者に心を開けるのは、自分とは違う考えを受け入れ、他者の欠点や失敗を厳しく責めずに許そうとする、寛容の精神があるからです。21世紀はグローバル化とダイバーシティの時代です。どんなフィールドで活躍するにしても、多様性を認め、様々な価値観と共生できる力が不可欠です。その力を育むのも寛容の精神に他なりません。
「寛容こそ文明の唯一のテストである」と言ったのは、19世紀イギリスの作家アーサー・ヘルプスですが、今日、必要とされているのも、私たち一人一人の寛容の精神なのだと思います。私は、皆さん一人一人が、寛容の精神を持って他者との関わりを大切にしながら、自分の可能性を活かし、充実した人生を送ることを、強く願っています。その想いを餞に、式辞を結びます。
祝辞
学校法人実践女子学園
理事長 木島 葉子
皆さん、ご卒業おめでとうございます。
4年間の⼤学⽣活を終え、皆さんはどのような気持ちでこの⽇を迎えられたでしょうか。かつて、私も本学の卒業⽣として、同じように晴れの⽇を迎えました。卒業式当⽇、ピンクの着物に紺の袴を合わせ、髪はこの⽇のために⼤学2年⽣ごろから⻑く伸ばして臨みました。卒業式に学校で撮った写真では、紅⽩の梅の花が咲く中庭で笑顔にしていましたが、心の中では、毎⽇会っていた友⼈との別れの寂しさや、社会⼈になる不安が⼊り混じった複雑な気持ちだったと記憶しています。皆さんの中にも、当時の私と同じような気持ちを抱いている方がいるのではないでしょうか。
⼤学を卒業するということは、生活が大きく変わる節目でもあり、不安もあると思います。でも、大丈夫です。皆さんは本学で、ここでしか得られないさまざまな学びを経験してきました。知識を深めるだけではなく、多くの経験を積んで自分を成長させ、可能性を広げた貴重な日々は、これからの人生を支える大きな力となります。皆さんには、本学の卒業生であることに⾃信と誇りを持ち、社会で果敢にチャレンジし、未来を切り拓いてほしいと願っています。
また、私が本学園の理事長に就任するまで企業で長く働いてきた経験の中で、特に大切だと感じてきたことがあります。それは、「まずは実践すること」「チームで取り組むこと」「主体的に行動すること」です。気になることがあればまず一歩踏み出し、自分から周囲に働きかけながら力を合わせ、そして自ら考え行動する、この3つの姿勢は、どのような環境でも皆さんの力になるはずです。
そして、建学の精神である「⼥性が社会を変える、世界を変える」を実現するのは皆さん⾃⾝です。これから歩む道のりでは、思い通りにいかないことや困難に直面することもあると思いますが、自分の可能性を信じ、一歩ずつ前に進んでください。皆さんのこれからのご活躍を心より祈念しています。
祝辞
一般社団法人教育文化振興 実践桜会
理事長 大和 惠子
春光うららかな良き季節に、ご卒業を迎える卒業生の皆様、そして保護者の皆様、本日はご卒業おめでとうございます。心よりお祝いを申し上げます。
一般社団法人 教育文化振興実践桜会(略称:実践桜会)は、実践女子学園すべての卒業生の同窓会です。学園創立の2年後、1901年(明治34年)に下田歌子先生が設立して本年で125年になります。実践桜会に卒業生の皆様をお迎えできますことを大変嬉しく思っております。
下田歌子先生は、欧米視察を通じて、一部の上流階級のための教育以上に、一般女性を対象とした女子教育の重要性を痛感します。女子教育によって家庭も変わり豊かな社会が作られると考え、教育と徳育により女性としての品格を身につけ、さらに実践的な学業を授けることで自活の道を立て、社会に貢献できる人材を育成しようとしました。『女性の資質は、純一で慈愛に富み、その清らかな徳性とゆたかな情操を持って、社会の弊を正し、広く世人に至福をもたらすことにある』と、女性が持っている様々な人々を幸せにできる資質を信じておられました。
これから予測困難な時代、多様性社会を生きて行く皆様は、母校で学んだ知識や技術・経験を土台に更に社会での新しい学びを通して、建学の精神である「女性が社会を変える、世界を変える」を実践して行っていただきたいと思います。これからも、友人や先生方との交流を大切に育んでいただき、皆様の人生が豊かで実りあるものになりますようにと願っております。
最後に、同窓会である実践桜会の活動を少しご紹介させていただきます。
学園の同窓会として、卒業生の親睦をはかり、住所変更などの名簿管理、卒業学科ごとの科会活動、各地の(国内・海外39支部)支部活動、そして広く社会に向けた貢献事業として、「母校への助成、奨学金の給付(母校への「実践桜会奨学金」、下田先生が清国留学生を受け入れた精神に倣い、東アジアからの留学生への「国際交流基金奨学金」)、生涯学習活動、会館貸室」事業などを行っています。クラス会の開催などにも是非会館をご利用ください。皆様をいつでも歓迎いたします。
卒業生の皆様のご健勝をお祈りして、お祝いの言葉とさせていただきます。
本日はご卒業、まことにおめでとうございます。







