公衆衛生学研究室
<指導教員>佐々木渓円
<発表場所>第61回日本小児アレルギー学会学術大会
食物アレルギーをもつ乳幼児は、原因となるアレルゲンを含む食物の除去が必要となる。これまでの研究では、不適切な食物除去によってカルシウムなどの栄養素が不足することが指摘されている。しかし、管理栄養士が配置されていない医療機関では、保護者が栄養素の充足について適切な指導を受けられているかは、明らかにされていない。また医師の指示に基づかない除去では、保護者の多くはインターネットなどから得た知識をもとに判断していた。インターネットで得られる情報には不十分な内容が含まれているため、食物除去による栄養素の不足や、代替となる摂取方法に関する知識が得られない可能性がある、その現状を研究対象とする。
研究方法としては、インターネット調査会社に登録している食物アレルギー児の保護者を対象として、食物アレルギーや適切な栄養素を摂取できる食生活に関する知識をどのように得ているかを明らかにする調査を企画した。この研究を卒業論文だけでなく学術論文として発表することで、本学のゼミナール活動の学術的な活性化だけでなく、管理栄養士として乳幼児の食生活支援にも寄与すると考えている。
News
2022年度
演題:牛乳アレルギー児の母親におけるカルシウム摂取の被指導経験
演者:佐々木渓円、長谷川香奈、林典子
所属:実践女子大学生活科学部食生活科学科、十文字学園女子大学人間生活学部健康栄養学科
[目的]
牛乳アレルギー(CMA)児は、アレルゲンの除去に伴いカルシウム(Ca)摂取量が不足するリスクがあるため、除去を指示する際には、保護者に対してCaを多く含む代替食品の説明等の指導が必要である。また、栄養食事指導は、被指導者が行動変容に至ることを目的としている。そこで、本研究では、CMA児の母親のCa摂取に関する被指導経験や代替食品の利用状況等を調査した。
[方法]
2022年に、6歳未満のCMA児200人の母親を対象とした横断的なWebパネル調査を実施した。有効回答者171人について、医師、栄養士、看護師などの医療従事者からCaの摂取方法の被指導経験がある者(HCP群)とその他の対照群に分けた。調査項目はCa摂取を目的とした代替食品の利用状況、Caの摂取不足に対する不安などとした。
[結果]
HCP群には112人(65.5%)が該当し、対照群(59人)と比較して代替食品の利用率が高かった(89.3%対62.7%(χ2検定、p<0.001)。代替食品の利用者(調整オッズ比[95%信頼区間]:3.67[1.36-9.88])やHCP群(2.08[0.99-4.40])では、Ca摂取不足に対する強い不安と関連あるいはその傾向がみられた。
[結論]
医療従事者による指導はCa摂取を目的とした行動変容に寄与するが、被指導経験がない者がみられた。代替食品や必要量を補う方法を伝えるだけでなく、保護者の不安を軽減する支援が必要である。







