児島 薫 (文学部美学美術史学科教授)
(絵画を中心とする日本近代美術史。特に官展の画家、女性画家などについて。)
『服部雪斎 幕末から明治を生きた、精美なる花鳥図の絵師』
出版社:教育評論社(2025年6月)
服部雪斎とは誰なのか—
膨大な貝を貝殻の形状と色によって整然と分類し、それに基づいて九百を超す数の貝を収録した『目八譜』(武蔵石寿著、1845年序)、鶴から烏まで六十一種類の鳥の絵と解説を収めた『華鳥譜』(森立之著、1861年序)といった図譜に精緻な図を描いた人物である。また明治初期にはオーストリア=ハンガリー二重帝国皇帝や英国王子に贈呈された画帖の制作に携わった。
幕藩体制から新政府への激動の時代を超え、動植物を正確に描き続けた、その知られざる画業に迫る。
■著者より
雪斎について美術史学会で発表したのが1990年で、文章は1992年に辻惟雄編『幕末明治の画家たち』に収録されました。このたび再び書く機会をいただき、その間に発見された作品を含めて、雪斎の仕事の全貌を新たにまとめました。
■目次
第1章 遠坂文雍一門が描いた祐天寺天井画
第2章 博物図譜の画家・雪斎
第3章 森立之と雪斎
第4章 外交儀礼のなかの雪斎
第5章 明治政府のもとでの雪斎