山本 浩貴 (文学部美学美術史学科准教授)
(欧米と東アジアを中心とする現代美術史。特に社会・政治的な芸術実践について。)
『12ヶ月で学ぶ現代アート入門』
出版社:美術出版社(2025年4月)
現代アートをめぐる12のギモンを解き明かす
「そもそも、現代アートって何?」「現代アートの現代は何を意味する?」「コンテンポラリー·アートと現代美術の違いは?」といった、現代美術をめぐる根本的なテーマを12の章に分け、山本氏が具体的な作品やアーティストを挙げながら、簡潔にわかりやすく解説しているのが特徴です。一つひとつのテキストが読みやすい長さであり、短い時間を利用して、少しずつ読み進めることもできます。また、本書のために書き下ろした「マーケット」と「ケア」の章は近年とくに注目されているテーマとして、市場や社会の現状に踏み込んだ、発展的な内容になっています。
アーティストや研究者へのインタビューで実態を伝える
さらに、現代アートの現場で活躍する会田誠、飯山由貴、尾崎翠(明日少女隊)の3名のアーティストと、研究者である小川公代(文学)、松村圭一郎(人類学)へのインタビューも収録。12のテーマに関連する内容について、実戦を通したアクチュアルな言葉を通して、リアリティをもって理解を深めることができます。
■著者より
よくある「現代アート」への疑問に、ひとつひとつ回答しています。現代アートの「わからなさ」を楽しむための第一歩となれば嬉しいです。
■目次
1.そもそも、現代アートって何? 現代アートの「定義」
2.現代アートはいつから始まる? 現代アートの「系譜学」
3.現代アートの現代は何を意味する? 現代アートの「意義」
4.現代アートと近代美術の違いは? 現代アートの「特性」
5.コンテンポラリー·アートと現代美術の違いは? 現代アートの「含意」
6.目に見えないものがアートになる? 現代アートの「多様性」
7.現代アートの物語はひとつ? 現代アートの「歴史」
8.政治的でない現代アートはないって本当? 現代アートの「政治性」
9.現代アートはいかにして社会を変えるか? 現代アートの「可能性」
10.これからの現代アートはどうなる? 現代アートの「未来」
11.現代アートのマーケットってどんなもの? 現代アートの「価値」
12.ケアの思想が現代アートにもたらすものは? 現代アートの「互恵性」
インタビュー
1.尾崎翠(明日少女隊)「意識変革のためにアートは有効であるか」
2.飯山由貴(美術家)「個人と社会のあいだの違和感を見据える」
3.会田誠(美術家)「芸術はメッセージを伝える器ではない」
4.松村圭一郎(文化人類学)「ポスト資本主義におけるアートの価値とは?」
5.小川公代(文学研究)「ケアの想像力を育む文学と美術の可能性」