山本 浩貴 (文学部美学美術史学科准教授)
(欧米と東アジアを中心とする現代美術史。特に社会・政治的な芸術実践について。)
『戦後初期日本のアートとエンゲージメント』
ジャスティン・ジェスティ(著)
山本 浩貴(訳)
出版社:水声社(2025年8月)
1950年代、ルポルタージュ芸術から九州派、創造美育協会まで、創作活動は社会運動と深く結びついていた─
特権的なものに抗い、新たな価値体系を樹立せんとした社会関与的な芸術の試み。そのネットワークをたどり、未だ汲みつくされることなき芸術゠社会的実践の可能性に光を当てる。
■著者より
2018年にコーネル大学出版局から刊行された戦後日本美術の著作を翻訳しました。冷戦期の問題にアプローチした日本の前衛芸術を、作家や作品を取り巻く組織的共同作業の視点から論じた本です。訳者として1万5千字超の解題を執筆しました。
■目次
序論
第1部 エンゲージメントの芸術=技法と戦後初期の民主的文化
第1章 参加型文化と民主的文化
第2章 アートとエンゲージメント
第2部 前衛のドキュメンタリー1950年代のルポルタージュ芸術
第3章 《あけぼの村物語》の物語
第4章 社会派ドキュメンタリー作品と運動としてのルポルタージュ芸術
第5章 前衛主義リアリズム
第6章 桂川寛、池田龍雄、中村宏
第3部 開かれた扉を開く—創美と羽仁進
第7章 創美セミナーに降り立つ
第8章 組織と運動としての創美
第9章 創美の哲学と教育学
第10章 羽仁進とカメラの創造性
第4部 九州派タルタル—野生と洗練の間の反芸術
第11章 英雄たちの大集会
第12章 九州派—三つの世界の間で
第13章 九州派の芸術
第14章 反芸術残酷物語
結—過去と未来の希望