教育改革への取り組み
日本をはじめ地球規模で様々な環境が大きく変化している中で、教育に求められる「質」も確実に変化してきています。実践女子学園の建学の精神「女性が社会を変える、世界を変える」と、実践女子大学・実践女子大学短期大学部の教育理念「品格高雅にして自立自営しうる女性の育成」は、特に、男女共同参画社会の実現を目指す今日の日本にあって、けっして色褪せることなく、その重要度はますます増しています。
この建学の精神・教育理念に基づいた人材育成をより確かなものにしていくために、本学では、この度、卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)、教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)及び入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)を見直し、改めて策定しました。
中でも、ディプロマ・ポリシーにおいては五つの態度・能力を保証しています。すなわち「国際的視野」「美の探究」「研鑽力」「行動力」「協働力」は、これまでもそしてこれからも、本学が社会に輩出する有為な人材像に他なりません。これまでは、学生にはどうすればこれらの態度・能力が身につくのかわかりにくいものがありました。また、教員には、どのような手段でこれらの態度・能力を学生の身につけさせるのか曖昧な部分がありました。今回、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーと相俟って、明確な人材育成の柱とするものです。
本学は、五つの態度・能力を確実に養成するために、教育の「質」の転換を図り、能動的学修を積極的に取り入れます。また、五つの態度・能力を育成することを、学生や企業・社会一般に保証するために、様々な先進的取り組みを行い、制度やシステムを構築していきます。
教育の「質」の転換と内部質保証システムの確立を目指す本学の、新たな教育改革の取り組みをお知らせし、皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
建学の精神と教育理念に基づいた卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)で保証する「国際的視野」「美の探求」「研鑽力」「行動力」「恊働力」。これらを身につけた人材を輩出していくために「カリキュラムの策定」→「教育の実行」→「教育成果の把握」→「改善の実行」というPDCAサイクルを回しながらきめ細かい教育指導、教育成果の見える化を推進し、ゴールである「学位の質保証」に向かって様々な施策を実行していきます。
約120年の歴史の中で守り続けてきた「建学の精神」、それは「女性が社会を変える、世界を変える」という信念です。本学園の創立者下田歌子は、女性が持てる力を発揮することによってこそ「善美」な国家・社会を創ることができるという強い信念を持っていました。
こうした女性に寄せる厚い信頼と期待は、本学園において、今も脈々と引き継がれています。
「男女共同参画社会」の実現が求められている現代社会では、女性たちは、固定的な性別役割や慣習にとらわれることなく、それぞれが自らの持てる力を発揮し、社会の様々な分野で活躍することが期待されています。
本学園はこれからも、創立者下田歌子の信念を受け継ぎ、「女性が社会を変える、世界を変える」という建学の精神に基づいて、女性たちがさらに活躍する社会を創るために力を尽くしてまいります。
本学園の創設者下田歌子は、学園設立に際し、先ず知性と品性を備えた「品格高雅」な人材の育成を教育理念の一つに上げました。女性の地位が今日よりはるかに低い時代にあって、その育成により女性に対する社会的な評価を高めようとしたのです。
また、下田歌子は「自立自営」しうる実践力をもった女性の育成を教育理念として掲げました。女性が自立するには「実践的」な知識・技術の習得が不可欠と考え、その理念を本学園の名称に込めたのです。
本学は建学以来、一貫して実践的な知識技術の習得と学問科学を実社会で活用しうる「実践力」の育成に邁進してきました。「知性と品性を備えた品格高雅にして自立自営しうる実践力を持った女性の育成」という教育理念は、現代もなお、色褪せることはありません。
実践女子大学(実践女子大学短期大学部)は、学修から得た知識・技能・態度を社会に還元するべく実践し、世界と地域で貢献する力を得ることを求めます。その達成のために、以下に掲げる態度を核として能力を身につけ、所定の単位を修得した者に「学士」(「短期大学士」)の学位を授与します。
[態度]国際的視野
多様性を受容し、多角的な視点を以って世界に臨む態度
1.多様な価値観を持つ国内外の人々との交流を通して、相互の理解と協力を築こうとする態度。
2.国際感覚を身につけて、世界に踏み出し社会を動かそうとする態度。
3.日本の文化・精神を知り、世界に発信しようとする態度。
[能力]協働力
相互を活かして自らの役割を果たす力
1.自己や他者の役割を理解し、互いに協力して物事を進めることができる。
2.互いを尊重し信頼を醸成して、豊かな人間関係を構築することができる。
3.状況に応じたリーダーシップを発揮することができる。
[能力]行動力
課題解決のために主体的に行動する力
1.現状を正しく把握し、課題を発見できる。
2.目標を設定して、計画を立案・実行できる。
3.プロセスや成果を正しく評価し、問題解決につなげることができる。
[能力]研鑽力
学修を通して自己成長する力
1.学ぶ愉しみを知り、生涯にわたり知を探究し、学問を続けることができる。
2.学修成果を実感して、自信を創出することができる。
3.広い視野と深い洞察力を身につけ、本質を見抜くことができる。
[態度]美の探究
知を求め、心の美を育む態度
1.人文・社会・自然の中に価値を見出し、感受性を深めようとする態度。
2.物事の真理を探究することによって、新たな知を創造しようとする態度。
3.優しさと強さを兼ね備え、倫理観を以って人格を陶冶しようとする態度。
実践女子大学(実践女子大学短期大学部)は、教育理念及び卒業認定・学位授与の方針に基づき、学修から得た知識・技能・態度を世界と地域に還元できるようにするべく教育を実施します。そのために、教育課程編成、教育内容、教育方法及び評価方法について以下のとおり定めます。
教育課程編成
1.共通教育科目、専門教育科目を体系的に配置します。
2.授業科目の学年配当に配慮し、入学から卒業までいずれの期間も充実した学修ができるようにします。
3.学部・学科を横断して科目を履修する機会を設け、幅広い学修ができるようにします。
教育内容
1.共通教育において、大学での学修のための導入教育をするとともに、人文、社会、自然の幅広い教養を培うことができるようにします。
2.専門教育において、各学部・学科の卒業認定・学位授与の方針に基づき、基礎から応用に至る知識・技能を身につけることができるようにします。
3.共通教育、専門教育を通じ、情報発信、言語運用、国内外の文化について学修することで、国際性を身につけることができるようにします。
4.共通教育、専門教育を通じ、キャリア形成に資する教育を行い、就業力を育成します。
教育方法
1.能動的な学修の充実を図るために、アクティブラーニング、演習・実習や少人数教育を積極的に導入します。
2.社会とつながる学修の充実を図るために、正課外の活動も含め、学外の組織や地域との連携の機会を取り入れます。
3.授業と連動した事前・事後学修の方法をシラバスに明示し、活発な学修を促す教育を行います。
評価方法
1.成績評価基準を明示し、学生が自らの到達度を正確に把握するとともに教員と共有できるようにします。
2.客観的・総合的評価のために、GPA制度を用います。
実践女子大学(実践女子大学短期大学部)は、教育理念及び卒業認定・学位授与の方針に定めるとおり、学修から得た知識・技能・態度を世界と地域に還元するべく、実践する意欲に満ちた人を積極的に受け入れます。そのような意欲をもった入学者を選抜するために、各学部学科のアドミッション・ポリシーにおいて、修得している事が求められる能力や態度について公表し、それぞれに対応する多様な入学者選抜方法を実施します。
3つのポリシーに基づいて学生を育成していくために、本学は様々な学びの施策を導入して実行します。代表的な例を紹介します。
実践女子大学・短期大学部型 学生の成長プロセス
1.長所と短所の把握
テストで自分の成長を客観的に知ることができる!!
【PROGテスト】
将来を見据えて自分のどの能力や態度を伸ばしていくのを決める前に、まず自分の強み、弱みなどを客観的に知る必要があります。 PROGテストで社会から求められる汎用的な能力・態度・志向=ジェネリックスキルを定期的に測定し、自分の目で成長度合いを確かめることができます。
2.授業選択
自分がどのような能力を伸ばし態度を身に付けたいのかを科目選びに反映できる!!
【カリキュラムマトリックス】
ディプロマ・ポリシーで示す、「育成すべき態度、能力、知識など」と各科目の関連を明示します。それぞれの科目が、どの態度や能力を伸ばすことができるのかをわかりやすく表示します。自分の将来にとって必要な科目が選びやすくなります。
3.どれだけ成長したのか自己評価
ディプロマ・ポリシーで示す態度、能力の到達度が 9段階で自己評価できる!!
【学修ルーブリック】
ディプロマ・ポリシーで保証する5つの態度、能力。その到達度を示す評価基準(学修ルーブリック)に照らして自己採点します。定期的に自己評価した結果は学修ポートフォリオに記入されて、いつでも活用することができるようになります。
4.1~3を踏まえての修学面談
担任教員が定期的に学修ポートフォリオに基づく修学面談を行い、成長をサポート!!
【アカデミックアドバイザー】
学修成果は学修ポートフォリオにおいて、学生がいつでも見ることができるようになります。アカデミックアドバイザー(担任)が学生のきめ細かな学修指導を行います。科目選択はもちろん、進路のこと、自分の強みや弱みなど、学修指導の精度を高めます。
5.きめ細かい修学指導と学修成果の見える化による
確かな成長実感
企業、卒業生、学生、教員の声やデータにおいては「建学の精神」や「教育理念」を基にした変化の芽がすでに感じられます。その片鱗を紹介します。
新卒者に求めるのは「親和力」と
「行動力」評価されているのは「親和力」と「協働力」
企業が本学新卒者(大卒)に求めている能力は、「他者との豊かな関係を築く力」(親和力)が筆頭で97.3%。次いで「実践行動する力」(実践力)が96.7%でした。卒業生に対する評価では、「他者との豊かな関係を築く力」(親和力)(40.0%)、「目標に向けて協力的に仕事を進める力」(協働力)(32.1%)、「前向きな考え方ややる気を維持する力」(自信創出力)(27.4%)が上位を占めました。
企業が求める課題解決型人材
アクティブラーニングで育成
企業の52.7%が本学のカリキュラムに、課題解決型教育の推進を求めています。本学ではアクティブラーニングを積極的に導入して、不確実性の高まる現代社会に対応した「課題解決型人材」の育成に力を入れています。
83.9%の教員が
教育理念を意識して授業
教員は教育理念のキーワードを意識した授業や科目の実施について、83.9%が「大変意識している」「やや意識している」と回答。すでに教育理念を意識した教育は始まっています。
卒業生が身につけておきたかった能力は
ディプロマ・ポリシーにある「行動力」「協働力」
本学卒業生が身につけておきたかった能力の筆頭は「実践行動する力」(58.9%)。次に「問題解決までのプロセスやリスク、対処方法を構想する力」「他者との豊かな関係を築く力」(ともに50.4%)。「行動力」「協働力」は、ディプロマ・ポリシーに掲げて保証します。
●改革期
平成28年度
●3つのポリシーの策定
●PROG テストの導入
●事前事後学修時間の拡大
平成29年度
●3つのポリシーの適用
●共通教育(実践スタンダード)の新カリキュラムの導入
●副専攻の導入
●アクティブラーニングの組織的導入、他
●改革点検期
平成30年度
●専門教育の新カリキュラム導入
●カリキュラムマトリックス導入
●カリキュラムツリーの見直し
●学修ルーブリック(全学DP版)の導入
●シラバスの刷新、他
平成31年度
●共通教育(全般・教養)の新カリキュラム導入
●学修ポートフォリオの導入
●授業科目ごとのルーブリックの導入、他