映画『モアナと伝説の海』の舞台・南太平洋の文化が息づくフィジーにウェルビーイングを学ぶ!(11/22)
実践ウェルビーイングプロジェクト(JWP)の一環として、世界有数の幸福度を誇る南太平洋の島国、フィジーの幸福文化を学ぶプログラムが渋谷キャンパスで開催されました。ゲストからはディズニー映画『モアナと伝説の海』に通じる南太平洋の文化や、フィジーの人々が大切にする「つながり・共有・テキトー・現在にフォーカス」の4つの習慣が紹介され、学生は“幸せ=A×B”の公式を用いながら自分の価値観を深掘りしました。幸福度の捉え方や日常の中で幸せに気付く視点について多様な意見が交わされ、異文化を通じて自分の生き方やウェルビーイングを見つめ直す機会となりました。
今回のフィジーセッションに参加したJWPのメンバー
『モアナ』から広がる南太平洋文化とフィジーの価値観
説明に聞き入る学生
今回のプログラムは、フィジーの語学学校や留学プログラム「フィジー留学カラーズ」を運営する株式会社アールイーカンパニー(以下、アールイー社)の協力のもと、渋谷キャンパス、フィジー、アールイー社の本社がある大阪市をオンラインで結んで行われました。まず、来校した代表取締役の多田祐樹さんが口火を切り、フィジーを初めて訪れた時、各自のペースでおおらかに暮らす人々の姿に衝撃を受けたと強調。フィジーでは、幸せを感じながら働き、「自分の仕事を通じて多くの人に幸せを届ける体験ができる」と説明しました。
さらに、フィジーがモチーフになっている映画『モアナと伝説の海』を手がかりに、南太平洋の文化的背景を解説しました。「劇中に登場するマウイは、ポリネシア神話に登場する伝説的な人物がもとになっている」「タトゥーの語源はポリネシアの言葉“TATAU”」といった話に、学生たちは興味深々でした。
こうした文化の共通点として挙げられたのが“つながりを価値の中心に置く”という考え方です。家族や共同体の結び付きが強く、人々が互いに支え合いながら暮らす文化が、フィジーの高い幸福度の背景の一つになっているという点が強調されました。
前半の文化の理解を通して、学生たちは「フィジーがなぜ幸福度の高い国として語られるのか」を受け止めるための土台を築いていきました。
フィジーの「4つの幸せの習慣」と“しあわせ=A×B”の考え方
フィジーの幸福文化から自分自身の幸福について考えたプログラムの様子
後半ではフィジーの幸福観をより具体的に理解するパートが行われました。はじめに紹介されたのが、フィジーの4つの幸せの習慣「つながり」「共有」「テキトー」「現在にフォーカス」です。フィジーから報告いただいた長瀬智寛さんによると、それぞれがフィジーの日常生活の中で自然と実践されており、人々の幸福感を支える要素になっていることが紹介されました。
続いて、長瀬さんから「しあわせ=A×B」というシンプルな公式が提示され、学生に当てはまる言葉を考えてもらいました。「行動×つながり」「自分を愛せること×人との関わり」「自由×経験」などさまざまな回答が寄せられ、参加者それぞれが、自分の幸福を構成する要素の組み合わせが出されました。さらに、長瀬さんは「不安×感謝」のように、ネガティブな感情にポジティブな視点を掛け合わせることで、受け止め方が変わるケースもあるとも補足しました。こうした例を踏まえながら、学生は“幸せとは何か”を自分の言葉でとらえ直していきました。
自分の幸福度を数字で捉え、価値観の違いを考える
アールイー社のプレゼンに拍手を送る学生
後半のまとめとして、長瀬さんは学生に「現時点の自分の幸福度を1~10で示してほしい」と問いかけたところ、学生の回答の平均値はおよそ8に。長瀬さんは「日本では6や7を選ぶ人が多い。一方で、フィジーでは9や10を選ぶ傾向にある」と紹介し、両国の“主観的幸福度”の違いに触れました。この違いには個人の生活状況だけでなく、文化的背景や幸福をどう捉えるかといった価値観が影響していることが説明されました。学生たちは今回のプログラムで自分がどの数字を選び、その理由としてどのような価値観を抱いているか自分自身を客観的に見つめ直す機会となりました。
株式会社アールイーカンパニー、多田祐樹さんのコメント
多様な価値観に触れることは、自分の視野を広げ、新しい価値観へと変化していくための大切な土台になります。だからこそ、皆さんにはぜひフィジーにも足を運び、文化や人との出会いを通して、自分の内側にある可能性に気づいてほしいと思っています。 留学や旅で得られる「第2・第3の価値観」は、まるでGPS衛星のように、自分の立ち位置や人生の軸を照らしてくれる存在です。異なる価値観が増えるほど、自分の方向性はより明確になります。
参加学生と指導教員のコメント
国際学部国際学科1年、鈴木明莉さん
国際学部の学生として、グローバルという視点からウェルビーイングを学びたいと思い、このプログラムに参加しました。来年度のオーストラリア留学後には、ぜひフィジーにも行ってみたいと思いました。私は自身の幸福度を『7』と答えましたが、『10』と自信をもって言えるフィジーの人たちを深く知りたいし、異なる文化にも触れてみたいと思います。
文学部英文学科2年、藤本紗葵さん
『国際理解とキャリア形成』の授業で、多田さんがおっしゃった“偶発性と衝動性が人生を切り開く”というお話が印象的だったので、今回のプログラムに参加しました。フィジーの方々の幸福学における4つのキーワードは、まさに“偶発性と衝動性”を体現したものだと思いました。その時々に感じたことを周りの人と共有し、すぐに行動に移すことが幸福につながるのだと理解できました。私自身、普段は熟考して決断するタイプですが、自分の衝動性を信じて行動した結果、うまくいった経験もあります。本学への入学も直感を信じての決断でしたが、この道を選んでよかったと感じています。フィジーの人の“テキトー”に込められた柔軟性を今後大切にしていきたいと思います。
文学部国文学科、深澤晶久教授
2021年に立ち上げた正課外プログラムのJWP(実践ウェルビーイングプロジェクト)。初年度の20人から2025年度は大幅に増え、4倍近い75人の有志学生が、学部や学年の枠を超えて参加してくれています。今回のテーマは、学生たちが好きな『モアナと伝説の海』に関連付けながら、ウェルビーイングを学べる絶好の機会になりました。もともとウェルビーイングに対する意識が高い学生が集まっていたこともあり、前のめりで話に聞き入る姿が印象的でした。日本とは異なる世界観に触れ、ウェルビーイングの在り方を考えるうえで大いに刺激を受けたと思います。







