JR東日本・東急電鉄と学ぶ「やさしい日本語」 国際学科「日本語教育入門b」で企業連携授業を実施(5/12・6/16)
5月12日と6月16日の2日間にわたり、国際学科2年生の選択科目「日本語教育入門b」において、JR東日本と東急電鉄との企業連携授業を実施しました。授業のテーマは「身の回りのやさしい日本語」。学生たちは、鉄道現場で実際に活用されている取り組みを学びながら、多様な人々に情報を届けるためのコミュニケーションについて考えました。
鉄道会社の取り組みから学ぶ「やさしい日本語」
「日本語教育入門b」では、日本語学校などで行われる「教室での日本語教育」だけでなく、卒業後に学生たちが関わる地域や社会における「街の日本語教育」について学んでいます。
今回の授業は、JR東日本と東急電鉄との企業連携授業で「身の回りのやさしい日本語」がテーマ。授業の前半では、JR東日本と東急電鉄の事業内容や業務について紹介いただいた後、各社が取り組む「やさしい日本語」について学びました。
JR東日本からは、平山氏、山田氏、大貫氏が登壇。秋葉原駅での外国人利用者対応をきっかけに「やさしい日本語」の活用を始めた経緯が紹介されました。
現在では車内放送にも導入されており、「人身事故が発生したため、運転を見合わせております」を「電車と人の事故があったため、止まっています。ストップしています」と言い換えるなど、緊急時にも状況が伝わりやすくなるよう工夫されています。
東急電鉄からは、竹内氏、奥沢氏、中西氏が登壇し、JR東日本との職場交流をきっかけに「やさしい日本語」を導入したことや、社内アナウンスガイドラインを整備していることなどが紹介されました。
運転士や車掌向けに携帯用の「やさしい日本語お助けツールカード」を作成し、「異音の確認」を「変な音がしました」、「非常停止ボタン」を「SOSボタン」と表現するなど、短時間で正確に状況を伝える工夫についても説明がありました。
学生と社員が一緒に考えた、鉄道マナーのやさしい言い換え
続いて、学生たちは各グループに分かれ、JR東日本と東急電鉄の社員の方々とともに、「電車や駅で気になること、困ること」をテーマにディスカッションを行いました。
歩きスマホ、荷物で座席を占領する行為、大声での通話やビデオ通話など、日頃の鉄道利用で感じている課題について意見を出し合い、利用者の視点から鉄道マナーについて考えました。
学生たちは、ディスカッションで挙がった課題をもとに、「電車内のマナー」と「駅でのマナー」の2つのテーマに分かれ、鉄道マナーを「やさしい日本語」で伝える放送文案を検討しました。
各グループの発表では、「電車の中では、大きな声で話さないでください」「ホームでは、走らずにゆっくり歩いてください」「黄色い目印より、後ろに並んで、電車を待ちましょう」など、利用者が具体的な行動をイメージしやすい文案が挙がりました。
社員の方々からは、「私たちも思いつかなかった表現があった」「現場でも採用したい」といったコメントが寄せられ、学生たちの柔軟な発想が高く評価されました。
非常時に伝わる言葉をロールプレイングで学ぶ
授業の後半では、「もしもの時に命を守るやさしい日本語」をテーマに、ロールプレイング形式の演習を行いました。
テーマは、「モバイルバッテリー火災」「緊急地震速報」。学生たちは車掌役と乗客役に分かれ、非常時にどのような言葉で状況を伝えればよいのかを考えながら取り組みました。
演習後には、JR東日本・東急電鉄の社員の方々から、学生たちの言葉の選び方や伝え方についてフィードバックがありました。モバイルバッテリー火災を想定した演習では、緊急性を伝えながら、状況と取るべき行動を短く案内した点が分かりやすい表現として評価されました。
また、乗客役の学生が相手に状況が伝わっているかを確認しながら避難を促した姿勢についても、非常時のコミュニケーションで大切なポイントとして取り上げられました。
緊急地震速報を想定した演習では、電車が止まっている理由や車内で待つ必要があることを簡潔に伝えることに加え、不安を感じている乗客に「一緒に待ちましょう」と寄り添う声かけの大切さが共有されました。
ロールプレイを通して学生たちは、相手が置かれている状況や心理状態を考慮しながら情報を伝える難しさと大切さを体感しました。「伝える」だけでなく、相手に「伝わる」ことを意識して言葉を選ぶ重要性を学びました。
学生の声
授業後、学生たちは「相手に“伝えた”ではなく、“伝わった”ことを意識し、多様な人と円滑にコミュニケーションを取れるようになりたい」「簡単な言葉を使うだけでなく、簡潔に伝えたいことだけを言うことで相手も理解しやすい日本語になるということが分かった」と振り返りました。
全2回の授業を通して、学生たちは「やさしい日本語」が単なる言い換えではなく、相手の立場に立って情報を届けるためのコミュニケーションであることを学びました。
JR東日本・東急電鉄の社員の方々からは、やさしい日本語では短く簡単な表現を選ぶことに加え、相手の反応を見ながら言葉を変えて説明することが大切だとメッセージが送られました。また、AIなどの翻訳ツールが活用される時代であっても、最終的に言葉を届けるのは人であり、「愛ある言葉が命を守る」という言葉とともに、相手を思って話すことの重要性が伝えられました。
なお、授業で学生たちが提案した意見や放送文案は、今後、JR東日本と東急電鉄で検討のうえ、実際の駅や車内での活用が予定されています。







