社会デザイン学科2年生が東急との連携授業で最終プレゼン。中学生との対話を生かし、「三方よし」の企画を提案(7/14)
人間社会学部社会デザイン学科2年生が、東急株式会社(以下、東急)と取り組む必修科目「演習Ⅱa」の連携授業が7月14日に行われ、各クラスの代表4チームが中学生、企業・団体、大学生の三者に価値を生み出す探究学習を提案しました。三者がつながり、「三方よし」の価値を生み出すアイデアを考えることがテーマ。学生は、渋谷区が開校する次世代の学びの場「青山キャンパス」(通称・青キャン)で中学生の探究活動に伴走した経験を踏まえ、身近な関心や社会課題を具体的な企画へと発展させました。
連携授業の様子
中学生の問いを深める探究対話を実践
中学生との対話で探究活動に寄り添う学生
最終発表に先立ち、学生たちが訪れた「青キャン」の「未来共創空間(ミラソ)」では、中学生の探究活動を支える対話に取り組みました。中学生から出されたのは、「地球を平らにしたらどうなるのか」「どうしたらお金が減らないのか」など、自由で身近な疑問。学生は答えを教えるのではなく、「言葉の意味をどう捉えるか」「何を調べれば確かめられるか」「誰に話を聞けばよいか」と問いを重ね、中学生自身が次の行動を考えられるよう寄り添いました。 体験後の感想は「思っていたより中学生がたくさん話してくれて熱量を感じた」「自分では思いつかないテーマが多く、話を聞くのが楽しかった」という声。一方で、「会話はできても、探究の問いを前に進める伴走ができたかはわからない」と、対話による探究の伴走という初の体験の難しさを振り返る学生もいました。
フューチャー・デザイン・ラボの奈良さん
現場で得た気づきをもとに、中学生の関心、企業が参加する意味、大学生が果たす役割を再検討して企画を練り直し、7月7日には4クラスの計16チームがクラスごとに発表して代表4チームが選出され、最終発表会に臨みました。東急からは、同社フューチャー・デザイン・ラボの奈良太一さんと上東(かみひがし)茉弥さんが参加しました。
A3チーム 「好き」を商品に変え、文化祭で届ける
A3チーム
最初に登壇したA3チームは、「中学生が自分の『好き』を出発点に、大学生や企業と商品やサービスを企画し、大学の文化祭で発表する探究活動を提案しました。名付けて「0→1 FESプロジェクト」。すでに中学校の美術部や企業と連携し、中学生の作品を使ったキーホルダーの制作を進めていて、常磐祭で展示する予定です。会場には作品だけでなく、その作品が生まれるまでの過程を伝える展示や、来場者が参加できる企画も設けます。中学生は自分の関心を形にする経験を得られ、大学生は中学生や企業との協働を学び、企業も若い世代の発想に触れ、自社の技術や活動を伝える機会となるメリットを強調しました。
奈良さんは「できるかできないかを先に考えず、『好き』を探究の原動力にしている」と評価。教員からは「企業へ働きかけ、実際の連携を生み出した過程そのものが学生の学びになる」との声が寄せられました。
B2チーム 冷凍食品で家庭の負担とフードロスを解決
B2チーム
続くB2チームが着目したのは、家庭でのお弁当作りとフードロスの問題で、「お母さんの課題×フードロス」を同時に解決するオリジナル冷凍食品の開発を提案しました。中学生は冷凍食品会社から食品ロスについて学び、規格外野菜を使った商品をグループで考案します。大学生による対話伴走でアイデアを深め、調理、試食、改良、企業へのプレゼンテーションまで取り組む流れです。提案例として、形が不ぞろいなキャベツでも使いやすく、味や形を自由に工夫できるお好み焼きを示しました。
中学生は、身近な社会課題を自分で考え、作って確かめる能動的な学びに。大学生は商品開発や企業との連携を経験し、対話力を養い、企業は食品ロス削減の取り組みや商品を若い世代に伝える機会が生まれ、社会全体の食品廃棄削減にもつながるとの発想です。教員からは、「冷凍食品とフードロスの関係をより明確に示すと良い」「規格外野菜が現在どの程度活用され、提案によって何が変わるのかを伝えると、企画の意義が強まる」との助言がありました。
C1チーム 中学生の成果を社会へ届ける発表の場
C1チーム
「Junior Research Festival(JRF)」というイベントを提案したのはC1チーム。中学生が時間をかけて考えた探究成果が校内発表だけで終わり、社会に届いていないという課題に注目しました。JRFでは、中学生が自分の興味から設定したテーマを調査し、企業に向けてブース形式で発表する場の提供を提案しました。 中学生は社会や仕事への理解を深め、プレゼンテーション力や課題発見力を伸ばすことが期待でき、企業は中学生ならではの発想や若い世代のニーズに触れ、教育・地域貢献の機会を得ます。大学生も伴走やイベント運営を通して実践的な力を身につけ、企業との接点を持つ経験になるとのことです。
奈良さんは「中学生のアイデアを社会につなげるという、ミラソが進めている活動と重なる提案」と前向きな評価。東急が持つ企業とのネットワークを活用し「現在ある活動への参加から、小さく始めることができる」と実現への道筋を示しました。教員からは、参加企業と中学生がどのように関わるのかを具体化すると、イベントの姿がさらに伝わるとのアドバイスがありました。
D3チーム 廃棄野菜を記憶に残る染め物体験へ
D3チーム
最後に発表したD3チームは、東急グループのホテルから出る廃棄野菜を使った染め物体験の提案。調べて発表するだけではなく、五感を使う体験によってフードロスを自分事として考える企画です。連携先として着目したのは、渋谷駅周辺にある東急グループのホテルです。ホテルでは調理の過程で野菜の皮や切れ端が安定して発生するため、継続的な活動につなげやすいと考え、具体的に紫キャベツやビーツなどを染料として活用し、手ぬぐいを染めることが示されました。中学生はフードロスとアップサイクルを学び、染め上がる色を予想しながらデザインを考え、作品は学校やホテルで展示する計画です。 中学生は社会課題を体験的に学び、大学生は安全管理や情報発信を通して中学生と企業をつなぎ、ホテルも廃棄物を教育に活用し、環境への取り組みを地域に発信する機会となります。
教員からは「ホテルが実際にどのような廃棄の課題を抱えているのかを聞くと、企画はさらに具体的になる」「地域の産業や染色技術と結び付けることで、新たな価値を加えられる」との講評がありました。
奈良さんと上東さんの2人は最終発表会を振り返り、「現場で中学生と対話した経験が、どの企画にも生かされていた。今すぐ取り組んでほしいアイデアも多かった」と評価。「すべてを一度に実現しなくてもよい。まずは小さな一歩から動かしてほしい」と呼びかけました。
担当教員から
標葉靖子 教授(コミュニケーション・デザイン)
成果だけでなく、チームで迷い、考え、動き、修正した過程にこそPBLの学びがあります。今回の経験を言語化し、省察的実践者として次の挑戦へつなげてほしいと思います。
板倉文彦 教授(経営学、情報学)
ターゲットとなる中学生と直に触れ合い、そのうえで企画・提案に挑みました。この経験は学生達にとって良い経験となり、将来に生かせる力になり得ると思います。
林篤裕 教授(計算機統計学、教育工学、高等教育論)
初めて出会うメンバーと積極的に意思疎通を図りながら協働し、斬新なアイデアを出し合って検討を進める姿が印象的で、大変頼もしく感じました。
佐倉統 教授(科学技術と社会、AIと文化)
自分たちの探究学習経験を振り返りつつ、中学生にとって楽しく有意義、かつ渋谷という地の利を活かした企画を考えられたのはとても良かったと思います。
学生の感想から
・学習、実践、修正のサイクルを何度も回すことができ、成長につながったと感じました。大学に入ってから一番楽しいPBL授業でした。
・実際にミラソを訪れて中学生の意見を聞き、自分の先入観と現場とのギャップに気づくことができました。
・企業で働く方の意見を聞き、企画を実現するために何を考え、誰に連絡する必要があるのかまで学べました。
・課題からすべてを自分たちで考えるのは大変でしたが、対象となる人に何が必要かを考える機会になりました。
・架空の題材ではなく、ミラソという現場と東急の方々がいたことで、実践的で現実的な企画を考えられました。
・自分たちの案が実現する可能性にやりがいを感じました。講評から、気づかなかった課題や改善点も学べました。
・企画をゼロから考え、形にして発表するまでを経験し、企画づくりの難しさと面白さを実感しました。
・面白い案を出すだけでなく、中学生、大学生、企業の三者が生み出す価値を考える重要性を学びました。
・今の子供たちに必要な学びを考え、新しいアプローチを知るきっかけになりました。
・青キャンでは中学生に話しかける一歩が出ませんでしたが、実際に対話したことで、自分でも気づかなかった強みを見つけました。







